ヒメタツナミソウの周知、保全目指し

喜界町教育委員会文化財保護チーム(喜界町埋蔵文化財センター)の松原信之さんと照屋真澄さん(提供写真)

喜界町教委が絵本作成
喜界の固有種学校などに配布へ

 喜界町教育委員会はこのほど、喜界島固有種の「ヒメタツナミソウ」の周知と保全を目的に、絵本『ヒメタツナミひめものがたり』を発行。小学校低学年の児童にも理解できるよう易しい表現を使用。喜界島の各小中学校や、図書館・公民館などに配布される予定。

 同書によると、ヒメタツナミソウは喜界島にのみ自生し、隆起サンゴ礁の岩場や湿った草地を好む多年草。絶滅危惧ⅠB類、国内希少野生動植物種に指定されており、町指定文化財(天然記念物)。

 同教委文化財保護チーム(喜界町埋蔵文化財センター)の松原信之さん(48)によると、ヒメタツナミソウは森の中では育たず、適度に人の手が入る場所に、周囲の植物と共存しながら自生するという。その生態は未だ解明されていない点が多い。

 「葉を切ってもどんどん伸びるが、除草剤をまいたり根っこごと引き抜いてしまうとすぐにダメになってしまう」と話す松原さん。同書ではその性質を「簡単に消滅する」一方、「生命力がとても強い」と表現している。

 「(同書を)小中学生に配布することで、保護者や学校の先生にも理解が広がる。みんなにヒメタツナミソウについて知ってもらい、みんなで守っていきたい」と松原さんは語った。

 全30ページ。絵やストーリーは、同チームの照屋真澄さん(33)が担当した。