ワクチン約2412回分廃棄

記者会見で新型コロナウイルスワクチンの廃棄について説明する竹田泰典町長=22日、龍郷町役場=

龍郷町 無停電装置の不具合 接種予定には影響なし

 龍郷町は22日、同町役場内の超低温冷凍庫内に保管していたファイザー社製の新型コロナウイルスワクチン2412回(1206人)分を廃棄したと発表した。町が4月下旬に導入し、冷凍庫に接続していた無停電装置の不具合が原因で約2日間動作が停止し、保存温度が上限を超えていた。今後の接種予定については、奄美市と合同で設置している奄美ワクチンセンター(奄美文化センター)から提供を受け、町内接種分は確保できていることから、影響はないとしている。

 町が同日午後に開いた記者会見によると、冷凍庫が正常に稼働しているのを最後に確認したのは、18日午後で、その後、21日午前8時半の目視確認で温度が24・3度に上昇していることに気付いた。無停電装置が10分おきに行う記録では、19日の午前8時にマイナス80・3度を記録して以降の記録がないため、その時点で動作が停止したとみられる。

 無停電装置を外し、冷凍庫のコンセントを直接つなぐと、再起動し正常に稼働したという。

 ファイザー社のワクチンはマイナス90度~マイナス60度で保存する必要があり、室温で2時間以上経過すると使用できなくなる。

 無停電装置は、停電時に自家発電装置が稼働するまでの30秒~1分のタイムラグを補うために町独自で導入していた。

 廃棄分のワクチンの接種対象者は、町内福祉施設の65歳以上の高齢入所者と施設職員、在宅医療の利用者、福祉訪問サービス利用者など計407人。すでに接種を終えている人数は現在調査中とした。不足分は同町が奄美市と合同で設置する奄美ワクチンセンターから132回分の提供を受けており、町内施設の冷蔵庫で保管中だという。

 今後のワクチン供給については、7月中旬に4680回分(第9弾)のワクチンが届く予定で、その後、さらに配分される2340回分(第10弾)を廃棄分に充てるとしている。

 今後の対策としては、7月以降に専用の蓄冷材と、電源停止をメールで知らせる装置の導入を検討。平日のみだった1日2回の冷凍庫の温度確認を、土日祝日含めた終日行うとした。

 無停電装置は21日に業者が引き取り原因を調査中。今後は使用しない方針で、停電時は職員が、自家発電装置が稼働した後に冷凍庫が再起動するかを確かめるという。

 竹田泰典町長は会見で「貴重なワクチンを廃棄処分してしまい、町民に多大なご心配とご迷惑おかけした」と陳謝した。