特定外来生物「ツルヒヨドリ」駆除

ツルヒヨドリの駆除作業を行う参加者たち
ツルヒヨドリの葉

環境省・奄美市・奄美建設業協会など
住用町山間、自然環境を保全

環境省奄美群島国立公園管理事務所、奄美建設業協会(村上慎一郎会長)・県建設業青年部奄美支部(前田浩寿支部長)・奄美市建友会(浜田幸之進会長)、奄美市は合同で23日、住用町山間戸玉地内の市線沿いで特定外来生物「ツルヒヨドリ」の駆除作業を行った。約80人が参加し、自然環境の保全に汗を流した。

同協会らは3年前から駆除活動を実施。この日は市道沿いの2か所で計約50㍍の範囲にわたって行った。世界自然遺産登録をふまえ、「自然環境に配慮した公共事業の実施」のための一助として取り組んでいる。

同事務所の後藤雅文離島希少種保全専門官から特定外来生物「ツルヒヨドリ」の特徴や駆除方法について説明があった後、作業を開始。ツルヒヨドリはツルが地面に触れている箇所から根を広げるため、回収したものは拡散しないよう徹底して処分する必要がある。木などに絡みついて伸び、高いところでは10㍍にも及んでいた。草刈り機やカマなどを使いながら作業を行い、最終的に2㌧トラック5台分、6㌧トラック1台分、全搬入量1・88㌧を回収し、名瀬クリーンセンターに持ち込んで処分した。

同事務所は2016年からツルヒヨドリの分布調査に着手。奄美市笠利町の須野ダム周辺や、同市名瀬根瀬部~大和村国直間、同村今里~宇検村宇検の県道沿いなど約11か所で繁殖が確認されている。

環境省によると、ツルヒヨドリは驚異的な繁殖力を持ち、一日に約10㌢もツルを伸ばしながら葉を広げていく。英語で「1分で1マイル広がる雑草」の異名を持ち、国際自然保護連合(IUCN)の「世界の侵略的外来種ワースト100」に挙げられている。在来生態系だけでなく、農作物にも大きな被害を及ぼす可能性があり、発見したらすぐに駆除する必要がある。

葉の長さは4~13㌢、幅5~10㌢、表面はつやっとしていて少し光沢があり、毛は生えていない。形は基本的にはハート形で、縁が少しギザギザしている。

前田支部長は「自然環境に配慮しながら公共工事を進めていくのは私たちの使命なので、これからも継続していきたい。環境省の指導を受けながら一緒にやった。ゆくゆくは地域住民と一緒にボランティア活動にしていきたい」と話した。

同事務所の後藤さんは「世界自然遺産の価値を守るためにも、外来種対策は重要。環境省だけではできないので、市町村や民間団体など地元のみなさんの協力をいただき、ありがたい。今後も連携しながら、計画性をもって継続していきたい」と語った。

ツルヒヨドリの繁殖を見かけた際は各市町村の世界自然遺産登録対策窓口、または電話0997・55・8620環境省奄美群島国立公園管理事務所まで。