「ウケユリ」が開花

甘い香りを漂わせるウケユリ(西康範さん撮影)

梅雨の晴れ間に ほのかな香り漂う

 「幻のユリ」とも呼ばれるウケユリが奄美大島南部で開花しているのを奄美市名瀬の西康範さんが撮影した。梅雨の晴れ間に、白い花びらが美しく輝き、周囲には甘い香りがほのかに漂っていたという。

 『琉球弧・植物図鑑from AMAMI(片野田逸朗さん著)』によると、ウケユリは山地の崖地や岩上に生え、葉は広披針形~披針形で短い葉柄があり、幅3~4㌢。形はややササの葉に似た感じがある。花は白色で香りが強く、花粉は赤褐色。

 奄美大島、請島、徳之島に分布する固有種で、県の天然記念物に指定されている。森林開発や盗掘、イノシシやノヤギの食害で激減し、環境省のレッドリストでは絶滅の危険が極めて高い「絶滅危惧ⅠA類」に分類されている。

 10年以上、同じ場所で毎年撮影をしているという西さん。今年撮影したウケユリは地上10㍍ほどの高さの崖地に咲いており、このほかにも30輪ほどの花が見られたという。「地面の低いところに咲いているウケユリは盗掘されやすい」と残念そうに話す西さん。「たくさん咲いていても、ウケユリの花びらは虫に食べられやすいので、きれいに撮るのはなかなか大変」と苦笑した。

 西さんによると、今月いっぱいが見頃という。