県議会一般質問

 奄美市住用町に整備される「世界遺産センター」(仮称)の完成予想図(環境省提供)

「世界遺産センター」来月着工
遺産の価値 理解・共感の総合拠点

 6月定例県議会は25日から一般質問に入り、同日は森昭男議員=公明党、鹿児島市・鹿児島郡区=、西村協議員=自民党、枕崎市区=、前野義春議員=県民連合、鹿屋市・垂水市区=、禧久伸一郎議員=自民党、大島郡区=が登壇。奄美の世界自然遺産登録に伴い奄美大島に整備される「世界遺産センター」(仮称)について、遺産の価値をより多くの人に理解・共感してもらうための総合拠点であり、奄美市住用町の道の駅・奄美大島住用内(黒潮の森マングローブパーク)に来月着工されることが説明された。

三つの世界遺産「全国唯一の県」

 奄美の世界自然遺産関係は禧久議員が質問。「世界遺産センター」整備については松下正環境林務部長が答弁した。センターの概要について松下部長は「奄美の世界自然遺産の価値を解説展示、自然体験フィールド等に関する案内、観察のルール周知など観察管理の拠点施設として、また盗掘対策や国立公園の保護管理等を行う保全管理の拠点施設として環境省が整備する」と説明。施設と展示などに総事業費として約7億5千万円を計上、来月着工し来年8月の開館を目指している。また、同省では徳之島でもセンター整備を目指し関係自治体などと調整を行っている。

 登録を見据えた受け入れに関しては悦田克己観光・文化スポーツ部長が答弁。昨年からの取り組み状況で変化があったものでは奄美群島地域通訳案内士およびエコツアーガイドを挙げた。地域通訳案内士は外国人観光客の受け入れに対応するため奄美群島広域事務組合が事務局となり育成に取り組んでおり、現在、昨年より9人増の13人が登録されている。エコツアーガイドは推進協議会が認定制度を運用しており、現在、昨年より24人増の133人が認定されている。悦田部長は「新規認定だけでなく、既に認定されたガイドのスキルアップを図るため講習を実施している」と述べた。

 奄美大島と徳之島が世界自然遺産に登録されると鹿児島県には、二つの世界自然遺産と一つの文化遺産(明治日本の産業革命遺産)が存在することになる。悦田部長は「全国唯一の県となり、観光にとって他に類のない大きなセールスポイント」と強調。「三つの世界遺産を持つ強みを最大限生かすため、地元市町村や航空会社、航路事業者とも連携しながら新たな周遊ルートの開発や商品化、効果的なプロモーションに積極的に取り組んでいく」との方針を示した。

 県内では1991年に徳之島町で発生が確認されて以降、奄美全域や屋久島町、南薩地区、鹿児島市など25市町村で発生が確認されているヤンバルトサカヤスデ対策に関する質問があり、松下環境林務部長が答弁。それによると県では対策検討会を設置し、専門家による調査研究などでヤスデの生態、駆除、まん延防止対策の検討を行っている。松下部長は「今年度、これまでの取り組みを踏まえて検討委員会の検討結果や市町村の取り組み事例など取りまとめた冊子の改訂を行う。その内容を市町村や建設業、造園業などの事業者、住民等に広く周知していく」と述べた。なお、薬剤散布による環境への影響は、把握するため河川水や井戸水の水質調査をしたところ、これまで異常は見られていないとした。