和泊町長選挙で、新人4人による争いを制した前登志朗氏(62)。「未来の町政へチェンジ!!」をスローガンに、観光協会長や会社経営者として培った経験を踏まえ、町政改革や財政立て直しを訴え、次点を45票差の僅差で破り初当選を果たした。「古い体質を変え、民間目線に変えることで島は変わる」と語る前氏に、新たな町政の舵取り役としての決意を聞いた。
―夜明けた今の心境は。
大きな責任感を感じている。(選挙で)指名しなかった人にも私に任せてよかったと思えるような町づくりに、緊張感を持って取り組みたい。
―今回の勝因は。
草の根選挙。若い人だけでなく、選挙を進める上で年配の人にも今の仕組みを変える必要性を感じてもらえた。閉塞感のある時代こそ私みたいな人間が必要。民間感覚を取り入れながらまずは役場から変えていきたい。
―思い描く町長像は。
誰よりも町民のため汗をかき、現場を駆けずり回り、現場で課題を解決できることが町長の仕事。町民が稼いで潤うことで町はよくなる。現場の声を反映しながら、トップセールスでも率先していきたい。
―特に力を入れたい分野は。
(コロナ禍など)現場は苦しい状況。国や県の情報を素早くキャッチし支援したい。和泊町には優秀な若者・職員も多い。偉い人の価値観や判断に任せるだけなく、若い世代の時代にマッチした思いをすくい上げ、取り入れていかなければならない。
―激戦でしこりは残らないか。
覚悟の上だが選挙が終わった時点ですべてはノーサイド。話し合いながら、町のために協力しあうことで解決したい。
―和泊町の何を変えていくのか。
まずは古い体質を変えたい。役所感覚を民間目線に変え、時代にあった町にしていきたい。実際に世の中、仕組みも変わってきている。小さな島で右半分、左半分では前に進まない。島一丸で一緒にできることは知名町とも相談しながら取り組みたい。
―財政再建への道筋は。
民間は収支のバランスを考慮し実行する。自分の借金ではなく、工夫・コスト感覚が足りない。緊張感を持って取り組むよう意識から変えなければならない。
―アリーナ計画についてはどう考えるのか。
ハコモノは作れば終わりではなく、維持費もかかる。人口が減る中で各町に同じような施設が必要ということでもない。知名町とも相談しながら島単位で考えるべきであり、検討の余地はある。
―子育て支援策、女性の活躍については。
和泊町には出産支援金などがなく、出遅れ環境も整っていない。年配の男性が頭をひねっても(政策が)わかる訳もなく、まずは女性管理職を段階的に3割にし、女性の意見が反映されるような町政にしていきたい。
―どのような和泊町を目指したいか。
今の役場は自分たちの価値観でものごとを決める体質がある。(閉塞感打破へは)町民の声を聞き、多様な価値観を取り入れることで、町の価値観も時代に合ったものに変わる。すべてにスピード感を持って取り組みたい。
(青木良貴)
(すすめ・としろう)兵庫県出身。3歳の時に和泊町に。1980年から飲食店経営。おきのえらぶ島観光協会長や町商工会理事などを歴任。高校生時代からラグビーをしていたせいか言葉の節々にラグビー感がにじむ。選挙中に中断していた「ジムにも早く通いたい」という肉体派。妻の久美子さん(63)、息子・娘の4人家族。