米PAC3が初展開

米陸軍のPAC3と陸自の中距離地対空誘導弾の部隊が共同訓練を展開した

日米共同訓練公開 奄美駐屯地で対空作戦
「侵略への抑止示す」

 陸上自衛隊と米陸軍による共同訓練「オリエント・シールド21」が1日、奄美市名瀬大熊町の奄美駐屯地であり、弾道ミサイルを迎撃する地対空誘導弾パトリオット(PAC3)などを展開する対空戦闘訓練を報道陣に公開した。奄美大島でのPAC3展開は初めて。陸自の中距離地対空誘導弾(中SAM)の部隊と共同でシミュレータを使い、相互の作戦能力の向上を図った。奄美大島でのオリエント・シールドは2019年9月以来2回目。

 オリエント・シールドは、陸自が毎年行っている米陸軍との共同訓練。陸自と米陸軍の部隊がそれぞれの指揮系統に従って共同作戦を行い、連携強化と対処能力の向上を図ることを目的にしている。

 この日は、兵庫県青野原駐屯地の中部方面隊第8高射特科群第339高射中約40人、米軍側は沖縄県嘉手納基地の第38防空砲兵旅団第1―1防空大隊B中隊約30人の計約70人が参加。訓練は非実射で、レーダー装置や発射機を用いて弾道ミサイルに対処する一連の手順を確認した。

 訓練後、吉田圭秀陸幕長は記者団に「(訓練は)より強固な同盟を発信する機会になった。マルチドメイン・オペレーションの具体化が課題だが、横断的な連携は深まっている」と評価。ジョエル・B・ヴァウル在日米陸軍司令官は「侵略への抑止を示すもので、開かれたインド・太平洋を守る意思を示すもの。(訓練を受け入れた)自治体や市民に心から感謝したい」と述べた。

 オリエント・シールド21には、陸自と米陸軍から過去最大規模となる計約3000人が参加し、実施期間6月24日~7月9日まで。奄美以外の地域では、北海道、鹿児島県、滋賀県、京都府など7カ所で行い、指揮機関訓練や指揮系統に応じた実動訓練を実施する。