天城町マンゴー出発式

前期から一転した天城町マンゴーの「豊作」を喜ぶ関係者=7日、同町松原

期待を込めテープカット(天城町マンゴー出発式)

鹿県〝出発の地〟のプライドを
一転「豊作、品質良好」

【徳之島】天城町熱帯果樹生産組合(作山和久組合長・組合員数34戸)の2021年産天城町マンゴー出発式(町共催)が7日、同町松原の新田功吉さん(68)のマンゴー園であった。前期の気象障害(開花不良・遅延)などによる大幅減産から一転「大玉傾向の豊作で品質も良好」。出発式も約2週間前進させた。鹿児島県内〝草分け〟の特産果樹の発進をアピールした。

 同町でのマンゴー栽培は1985年、ごく一部の農家有志の島外視察や栽培技術模索など手探りで始まった。その後、町が高収益型新規品目に位置づけて耐風ビニールハウスなど生産基盤施設導入事業でテコ入れ。同品目の県内先進地域としてけん引的役割を果たした。

 同町農政課(町農業センター)によると、品種は「アーウィン」(別名・アップルマンゴー)が主体。町全体の20年度生産実績は生産者数約50戸、栽培面積5・5ヘクタール、生産量約25トン、生産額は約7500万円。うち町熱帯果樹生産組合(34戸、3・9ヘクタール)は18トン、約5400万円。

 今期の一転した「豊作」背景には、隔年結果の表年的周期に加えて気象条件にも恵まれて着花・着果が進み、生産者個々の栽培技術の向上も反映された(県や町当局)。生産見込み量は町全体で約33トン(前期実績比約24%増)、うち同生産組合約26トン(約30%増)と大幅増産を見込んでいる。

 「町ゆたかなふるさと寄付金」(ふるさと納税)でも人気の返礼品でありながら前年度は品不足に陥ったが、今年は既に計555件(寄付総額616万円)=4日現在=を受け付けている。

 出発式には関係者ら約50人が参加した。作山組合長(58)は生産者たちに「例年より早い出発式。これから糖度は上がるので早取りの防止を」。森田弘光町長は「マンゴーを愛する全国の消費者たちに、県内出発の地天城町のプライドをもって収穫して届けよう」。県徳之島事務所農業普及課の坂上浩海課長も「徳之島のマンゴーは消費者の要望が高く高品質なものを」。

 また、マンゴー栽培草分けの1人・園主の新田さんは「(約35年前当時は)栽培技術は全く確立されておらず、果実の熟期をふろのお湯に浸けて試行したことも」と述懐。培ってきた自信と誇りを漂わせながら「より一層高品質のマンゴーづくりに努力したい」とアピールした。

 テープカットなどに続き本土発送を拍手で見送った。収穫は今月20日ごろにピークを迎え来月中旬まで続く見込み(作山組合長)。

 天城町熱帯果樹生産組合(同町天城、電話0997・85・4616)