奄美市役所2階で開催中の世界自然遺産特設展
奄美市は12日、「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」が今月下旬にも世界自然遺産への登録決定することから、市民らに広く世界自然遺産への理解を深めてもらおうと、市役所本庁舎2階の市民行政情報コーナーで、奄美の希少な生き物や登録地域の情報、これまでの取り組みなどを紹介する特設展示を始めた。世界遺産委員会の日程終了後の29日まで開催、登録に向けた機運醸成も図る。
展示は、環境省・沖縄奄美自然環境事務所や奄美市立奄美博物館学芸員の平城達哉さんらの協力のもと、アマミノクロウサギやケナガネズミ、オオトラツグミ、アマミイシカワガエルなど希少な動植物をおさめた写真パネル24点のほか、推薦地となっている奄美大島、徳之島、沖縄島北部、西表島を地図などで紹介。世界自然遺産登録を目指したこれまでの取り組みなどをまとめたパネルも展示している。
奄美や沖縄の推薦地には、世界中でこの地域にしか生息していない「固有種」が多い理由などを琉球列島の成り立ちや進化の歴史として紹介。温暖な亜熱帯気候によって形成された照葉樹林の森が育む生物の多様性などについても解説している。また、入り口付近には、環境省や県、同市などが製作したパンフレットを置き、無料提供される。
初日に訪れた同市名瀬柳町の関睦雄さん(73)は「アマミノクロウサギは、夜間、道路わきなどで見かけることが増えた。世界自然遺産になると、観光客がたくさん訪れるので、島民みんなで貴重な生き物を守っていく必要がある」などと話した。
世界遺産委員会では、今月24~28日の期間中に、奄美などの世界自然遺産登録の可否が審議される予定となっており、同市世界自然遺産推進室は「今後も様々な形で奄美の自然を紹介しながら、世界自然遺産登録に向け、市民の機運醸成などを図っていきたい」としている。