大島、攻守に圧倒

【3回戦・鹿児島情報―大島】被安打1で三塁を踏ませなかった大島のエース・大野=平和リース

5回コールドで2年ぶり8強へ

 【鹿児島】第103回全国高校野球選手権鹿児島大会第12日は14日、鹿児島市の平和リース、鴨池市民の両球場で3回戦4試合があった。

 奄美勢は大島が鹿児島情報と対戦。攻守がかみ合い、五回コールド勝ちで2年ぶりの8強入りを決めた。
 第13日は17日、平和リース球場で準々決勝2試合がある。奄美勢の対戦は組まれていない。

 【評】大島は初回、4番・田尾の右前適時打で先制。三回にはエラー、四球で好機を作り、6番・武田が走者一掃の左越え三塁打を放つなど、打者一巡の猛攻で5点を追加した。先発のエース大野は力強い投球で相手打線を1安打に抑え、反撃の機会を与えず、守備も2試合連続無失策の堅守で盛り立てた。五回裏、攻撃の手を緩めない大島打線は4番・田尾の左越え二塁打を皮切りに得点を重ね、最後は9番・丸田の犠飛で10点差。1時間14分のスピードゲームでコールド勝ちを決めた。

 

夏高校野球ハイライト
攻守かみ合い完勝 危機感を集中力に変える 大島

【3回戦・鹿児島情報―大島】3回裏大島二死満塁、6番・武田が走者一掃の左越え三塁打を放つ=平和リース

 大島は攻守ががっちりかみ合い五回コールド勝ち。安田秀太郎主将は「最後までスキを作らず攻められた。ようやく大島らしい野球ができた」と力強く振り返った。
 エース大野は被安打1、5奪三振。守備は無失策で相手打線に三塁を踏ませず、反撃の糸口を与えなかった。打線は8安打10得点と効率良く攻め続けた。

 3戦目を迎えて「心と身体が一致するようになった」(塗木哲哉監督)。これまで「打ちたい」「投げたい」と思っていても、練習不足で思い通りに表現できなかったが、大会期間中に試合と練習を重ね、周囲の協力でコンディション作りも万全を期したことで感覚が研ぎ澄まされてきた。

 6番・武田涼雅は過去2戦無安打。思うように打てていなかったが三回二死満塁の場面で「ファーストストライクを思い切り打てた」。ファールだったがチームの約束事を実践できたことで気持ちが吹っ切れた。3球目高めに浮いた直球を逃さず、左中間を破る走者一掃の三塁打で大きく主導権を手繰り寄せた。

 「良い意味で危機感が集中力に変わっている」と安田主将。島を出る直前まで練習も実戦も不足して危機感や不安を感じながらの大会に臨んだが、その分、集中して練習や日々の生活に取り組めているという。ホテル滞在中も合間にバットを振り、互いのプレーの改善点を指摘し合うなど、工夫を凝らしたことが生きている。

 2年ぶりの8強で過去の先輩に肩を並べた。これから過去の大島がどこも成し遂げていない夏4強、決勝、そして甲子園へ向けて「ステージが上がる」(塗木監督)厳しい勝負が待っている。「相手がどこでも自分たちの野球を一戦必勝、全力でやり切る」と安田主将は闘志を燃やしていた。

(政純一郎)

夏高校野球熱球譜
「4番の仕事」を全う 大島・田尾樹珠紀左翼手

 2安打3打点と全打席で打点を挙げ「4番の仕事」を全うした。

 一回裏二死二塁の先制機。「1、2回戦は4番の仕事ができなかった。(大野)稼頭央が頑張っているので、早く楽にさせてあげたかった」。

 執拗に内角を攻められたが「鹿児島南戦で(田中)胡斗龍にも攻められていたので対応できた」。当たったのはバットの根本だったが、「身体がしっかり回った」分、右方向への先制適時打=写真=になった。4番が口火を切ったことでチームも勢いづく。五回には今大会初の長打を放ち、コールド勝ちの流れを作った。

 これまで打ちたい意識が強くて前に突っ込んでしまい、自分の打撃ができなかった。大会期間中の練習で右投手はマシーン、左投手は打撃投手を相手に徹底して打ち込み、「身体を開かずに打つ」感覚を磨いたことが、3戦目でようやく花開いた。

 「試合前にしっかり汗をかくと身体も動く」のでアップでは足を動かし、汗をかいて準備できたことも自分の打撃を取り戻すのに役立った。4番は「走者を返し、チームの気持ちを勢いづける」のが仕事。これから始まる準々決勝以降の戦いでも、その仕事を全うする覚悟だ。

(政純一郎)