コロナ禍で支え合う地域づくり

支え合いの地域づくりの大切さを説いた、ご近所福祉クリエーターの酒井保氏(左端)=15日、伊仙町で

伊仙町で講演 2025年問題は「始まり」
ご近所福祉クリエーター酒井氏

 【徳之島】伊仙町生活支援体制整備事業講演会(町地域福祉課・地域包括支援センター主催)が15日、同町ほーらい館であった。ご近所福祉クリエーターの酒井保氏が「支え合い地域づくり~みんなでつくろう!みんなでつながる!愛ある伊仙町の地域づくり」で講演。コロナ禍での支え合いや2025年問題、介護保険制度と地域支え合いの両立、社会性とフレイル(虚弱)化の相関関係など観点から支え合う地域づくりを考えた。

 同町地域福祉課・地域包括支援センターが主催。酒井氏(1961年広島生まれ)は知的障がい者施設職員、社会福祉協議会福祉活動専門員、認知症グループホーム・小規模多機能施設長を経て14年から「ご近所福祉クリエイション」を主宰。全国講演(年間200~270回)や執筆活動、イラストレーターとしても活動中。

 入場制限の伊仙町会場では住民約80人が熱心に聴講した。

 団塊世代が75歳を迎え後期高齢者が2200万人を超す「2025年問題」に、酒井氏は「2025年は『始まりの年』であり約40年~50年間は続くということ」。国民の3人に1人が65歳以上、5人に1人が後期高齢者、65歳以上5人に1人が認知症との予測に立ち、「その日本を背負うのは私たちの子や孫。未来のため〝今〟をどうするか、①地域のつながり・支え合い②まず自身が健康であることが大事になる」とも訴えた。

 数日前に同町入りして町内の介護予防・地域サロン活動など現状も視察。ユーモアを交えながら行政関係スタッフらの紹介も促した。

 全国例として介護保険制度の適用につながった途端、対象者に地域の関心が無くなり関係性が薄れるなどバラバラに機能している実態。つながりが切られ、社会性が奪われている矛盾も指摘。サロン活動など「コロナだからできない、やらない」などこの1年余の停滞も指摘し「消毒や換気を徹底して、つながりや健康寿命を延ばすべき」とも提言した。

 体と心が衰えていく老いの中間地点フレイルの前段階の「プレフレイル(前虚弱)」で少しでも健康な状態に戻す。高齢者のうつ予防に孤食を避けた「共食」の勧め。地域で暮らし続けるための今後の介護予防の①対象は「全ての高齢者」②目指すものは「社会参加」③サービス・活動は「居場所・つどいの場・支え合い」―なども強調した。

 そして「近所での集いやふれあいサロン、カラオケ、ゲートボール、グラウンドゴルフ、趣味の活動、友だちとのおしゃべりや外食、散歩など日常的な娯楽も『社会性』の維持に役立つ。それが筋肉量の維持、フレイル予防につながることが分かった」と結んだ。