鹿屋農、延長10回力尽きる

【準々決勝・鹿屋農―れいめい】延長10回れいめい二死一塁、勝ち越し2ランを放った2番・室屋=平和リース

大島、18日に鹿実戦

 【鹿児島】第103回全国高校野球選手権鹿児島大会第13日は17日、鹿児島市の平和リース球場で準々決勝2試合があった。

 れいめいは九回裏に同点に追いつかれたが、十回表に2番・室屋の2ランなどで勝ち越し、粘る鹿屋農を振り切った。シード校同士の対戦となった第1試合は樟南が鹿屋中央に1点差で競り勝った。

 第14日は18日、同球場で準々決勝2試合があり、ベスト4が出そろう。奄美勢は大島が鹿児島実と対戦する。

夏高校野球サイド
「甲子園1勝」の夢、後輩に託す 鹿屋農

 試合終了後、一塁側応援席にあいさつするまで鹿屋農ナインは堂々と顔を上げ、胸を張っていた。最後のあいさつまで「自分たちの野球」をやり切ろうという誇りを感じた。平野武主将は「やり切った。悔いはない」と言い切った。

 3回戦・鹿児島城西戦に続き、強豪私学・れいめいとも対等に渡り合った。先発した左腕エース後釜は、勝負球の小さく動くボールが強打のれいめい打線の芯を外し、得点を許さない。守備は4試合連続の無失策。「守れるのが当たり前」(今熊浩輔監督)と練習時間の大半を費やして鍛え上げた守備は最後まで崩れなかった。

 1点差を追いかける九回裏は強気の勝負が実った。先頭の5番・大窪が中前打で出塁。6番・福迫には雷の中断後にエンドラン。「勝つためには仕掛けるしかない」(今熊監督)。三ゴロだったが、一走がスタートを切った分、二塁に送った形ができた。二死と追い込まれたが、8番・前田武蔵が中前適時打を放ち、土壇場で試合を振り出しに戻した。「昨秋も、春も最後の打席が自分だった。今度こそ自分で終わらず、3年生と甲子園に行きたかった」想いをバットに乗せた。

 3年前の夏4強に刺激を受け「鹿屋農で強豪を倒し、甲子園で1勝する」(平野主将)を目標に掲げ14人の同級生、後輩たちと切磋琢磨してきた。攻守交替は全力疾走、守備からベンチに戻ってくる選手ははつらつとした笑顔で迎え入れる。前向きであきらめない姿勢を最後まで貫けたから「あの展開を追いつくことができた」と平野主将は確信している。

 力は出し切ったが、目標には届かなかった。高校野球を「本気で笑って終わる」のは本当に難しい。同点打の前田、鹿城西戦2安打完封した楠原…頼もしい力を持った後輩たちが大勢いる。平野主将は「目標だけを一心に追い続けて甲子園1勝を果たして欲しい」と夢を託していた。

(政純一郎)