笠利町屋仁小 子ガメ59匹、屋仁海岸に放流

海に向かう子ガメを見送る子どもたち

体長6、7センチほどの子ガメ

「大きくなって帰ってきてね」
保護したウミガメの卵ふ化

 奄美市笠利町の屋仁小学校(神田哲郎校長、19人)は1日、校内のふ化場で保護していたアオウミガメの卵からかえった子ガメ59匹を近くの屋仁海岸に放流した。海岸には同校児童のほか、放流を知り集まった親子連れらが詰めかけ、打ち寄せる波に乗って沖に向かう子ガメに手を振り、「大きくなってまた帰ってきてね」と呼びかけた。

 同校などによると、屋仁海岸は昔からウミガメの産卵場所となっているが、近年は、防波堤から海までの砂浜の幅が狭くなり、満潮時には卵が海水をかぶってしまうため、ふ化しにくい環境にあるという。このため同校では、奄美市の許可を得て校内に海砂を使ったふ化場を設置。これまでの約10年間で、1000個以上の卵を保護、ふ化した約860匹の子ガメを海に放流するなど、保護活動を続けている。

 昨年はウミガメの上陸が確認されなかったが、今年は、5月以降5回の上陸と3回の産卵を確認。計353個の卵を保護した。2年ぶりの産卵に、児童や教員らも喜び、ふ化するのを待ち続けていた。

 今回生まれたのは、5月22日に保護した119個の卵で、産卵から70日が経過した7月30日に計59匹の子ガメが誕生した。

 放流には、児童のほか近隣住民や親子連れらが詰めかけ、海を目指して懸命に歩く子ガメを見送った。海岸では同行の児童らがシマ唄「行きゅんにゃかな節」の替え歌で「親亀(おや)なて戻て来よ」などと歌い、元気な姿で戻ってくることを願った。

 同小5年の中山颯くん(10)は「去年は産卵がなかったので心配したけど、今年は子ガメが生まれて良かった。親ガメになって帰ってくるまで、きれいな海岸を守り続けたい」と話した。

 同校では6月と7月に保護した卵計234個もこれからふ化する見込みで、同5年の松尾結さん(10)も「産卵のため上陸したウミガメを初めて見た。残りの卵も元気に生まれてほしい」と笑顔で語った。

 神田校長は「ウミガメの産卵やふ化を通して、命の尊さや自然環境保全の大切さを学んでもらいたい」と話した。