宇検村で読書指導者等研修会

画家・絵本作家のミロコマチコさん

対談形式で行われた講演会

親子読書など事例紹介
ミロコマチコさん、読書の魅力語る

 読書指導者の資質向上を図るため、県立奄美図書館は28日、第29回読書指導者等研修会を宇検村の生涯学習センターで開いた。今回は、宇検村教育委員会と共催。前半は同村の小学校教諭・学校司書の事例発表、後半は画家・絵本作家のミロコマチコさん(龍郷町在住)の講演があった。参加者は、自身の現場と重ね合わせながら熱心に耳を傾けていた。

 昨年は喜界町での開催を予定していたが、新型コロナウイルスの影響で中止、2年ぶりの実施となった。同日は奄美群島内から学校図書館、公共図書館、公民館図書館の関係職員約60人が出席した。

 今回の事例発表のテーマは「地域にひらく図書館をめざして」。同村内小学校と村教委職員、学校司書が登壇した。田検小(平山晋校長、児童49人)の読書指導担当の谷口大悟教諭は、学校図書館の設営や運営について紹介。運営については、職員間で共通理解を図るとともに、利用についてのオリエンテーションを児童と行ったという。

 また、同校は保護者への本の貸し出しも積極的に勧めており、約20年前から「親子の触れあいを通して読書の楽しさを味わう場」を目的とした親子読書会を実施している。

 同村教委の渡聡子さんと学校司書の西岡真紀子さんは、「宇検村の図書活動について」紹介。同村生涯学習センター内図書室は、今年度から図書の電算化を開始したことを報告し、学校司書の活動については、村内5校の設営などを紹介。西岡さんが「多くの学校の子どもたちと触れあえることは喜びである一方、深い関りが難しくもある」と担当校が分散しているもどかしさを語り、参加者へ参考意見を求める場面もみられた。

 後半は、ミロコマチコさんの講演が対談形式で行われた。事前に寄せられた参加者の質問も織り交ぜつつ、絵本作家になった経緯や読書の魅力などを語った。

 参加者からの質問は「子どもの頃に読んで印象に残った本」「絵本作家になった経緯」「奄美大島に移住した理由」などさまざま。ミロコさんは、幼少期に夢中になった絵本や画家・絵本作家になったきっかけ、絵本の制作エピソードなどをユーモラスに紹介し、「絵を描くことを苦手に感じる子どもにはどのようにアプローチしたらよいか」の問いには「無理に好きになる必要はないけれど、上手に描けなくても、どんなものでも面白いと大人が声を掛けることで心がほどけるかもしれない」と提案。結びに、読書の良さや本の魅力について尋ねられ「私が今みなさんの前に立てているのは奇跡なくらい、引っ込み思案だった。本のおかげで人とつながる世界をもてたと思う。自分の心を育てるのはもちろん、本の世界ならどこへでも旅することができる」と語りかけた。

 研修会終了後、奄美市名瀬の朝日中学校司書・高地優子さん(28)は前半の事例発表について「子どもだけでなく、保護者や地域の方に開かれていて有意義な取り組みだと思った。今回得たアイデアを生かしていけたら」と話し、ミロコマチコさんの講演については「制作エピソードを聞いて、作品に人柄が出ていると思った。絵本作品のなかにあえて怖いページを取り入れた話が印象に残っている」と笑顔で振り返った。