カクレクマノミとイソギンチャク消える

スコップのようなものでえぐり取られた跡が残る海底=知名町沖泊漁港=(提供写真)

2020年に撮影された同じ場所。イソギンチャクの回りを泳ぐカクレクマノミ(提供写真)

「島の宝盗らないで」ダイバーら怒り
知名町

 【沖永良部】知名町沖泊漁港付近に生息していたカクレクマノミとイソギンチャクが1日、採捕されていることが分かった。確認した同町サンゴ礁保全対策協議会の東進一郎会長(50)は「島の宝を盗らないで」と怒りをあらわにしている。

 採捕された場所は港内の2カ所。泳いで行ける距離で深さは干潮時で約3㍍、満潮時で5㍍ほど。スコップのようなものでイソギンチャクを海底からえぐりとった跡があり、イソギンチャクと共生するカクレクマノミの姿も見えなくなった。

 1日午前11時ごろ、ダイビング客をこの場所に案内していた地元のダイバーが発見した。先月18日までは異変はなかったという。

 ダイビングショップを経営する東会長は「初めてダイビングをする人に必ず見せる場所だった。これまで島を訪れてくれた人がこの状況を見たら悲しむ。住んでいた生きものを勝手に持っていく行為は許せない」と話した。

 沖泊漁港付近は奄美群島国立公園の普通地域に指定されているが、海域公園地区ではないため採捕は禁止されていない。町は環境省と協議し、対応を検討している。