県20年度決算見込み

歳入歳出10%超増加 コロナ補助などで膨らむ
県債、補正予算債発行多く増に

 

 県財政課は5日、2020年度一般会計決算見込みを発表した。決算規模は歳入9368億4100万円(前年度比13・2%増)、歳出8849億7600万円(同11・1%増)となり、いずれも前年度を10%以上も上回った。新型コロナウイルス感染症対策などにかかわる補助費等が増となり、これに伴って国庫支出金が増となったことなどから。県独自に発行する県債(借金)は6年連続減が続いていたが、防災・減災・国土強靭化のための5カ年加速化対策への対応に伴う補正予算債の発行が多かったことなどで増加した。

 収支をみると、実質収支は188億3千万円(前年度66億1600万円)、実質単年度収支は121億6400万円(同19億5300万円)。実質収支、実質単年度収支ともに黒字となっているが、「20年度新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金の国庫返納予定金(100億円程度)などを含んでいることから大きく増加している」(財政課)。

 歳入の内訳は、県税1484億3800万円(前年度比0・2%増)、臨時財政対策債を加えた実質的な地方交付税3048億7千万円(同1・7%増)、国庫支出金2199億6900万円(同58・0%増)、県債1179億2200万円(同14・7%増)など。

 主な要因は、県税=新型コロナ影響などによって、一部の業種を除いて企業業績に減速が見られたことなどにより法人二税が減となった一方で、税率引き上げによる地方消費税の増などで増加▽国庫支出金=新型コロナ対策にかかわる国の補正予算などに対応した国庫支出金が増加―を挙げている。

 歳出を性質別にみると、人件費2285億5200万円(前年度比0・1%増)、補助費等1805億3300万円(同54・9%増)、普通建設事業費1612億4400万円(同7・6%増)、災害復旧事業費131億5100万円(同67・5%増)、扶助費1310億4600万円(同2・0%増)、公債費1210億3300万円(同2・9%減)。

 補助費等の大幅増は、地方消費税の収入増に伴う地方消費税清算金および市町村交付金の増や、新型コロナ対策などに要した経費の増などから。また、災害復旧事業費も大幅増だが、昨年7月の大雨による河川等の災害復旧に要した経費の増などによるもの。

 県債の残高は前年度比9億6400万円(0・1%)増の1兆607億1800万円。総額は、減収補てん債などの発行額の増加で53億3600万円(0・3%)増の1兆5952億9500万円となった。財政調整に活用可能な基金(貯金)残高は、新型コロナ対策などに活用したことから、わずかに減少し、249億4700万円(前年度比0・2%減)となった。