「金見イノー水族館」生物多様性にふれる

鈴木廣志さん(元鹿児島大水産学部教授)を講師にあった「金見イノー水族館」観察会=9日、徳之島町金見崎海岸

徳之島の歩き方PJ・徳之島町金見崎海岸

【徳之島】「徳之島の歩き方プロジェクト~未知との遭遇(夏の遠足編)」(徳之島自然保護協議会主催)シリーズの一つ「金見イノー水族館」が9日、徳之島町金見崎海岸であった。親子連れ14人が参加。地元の地域おこし団体と専門家の講師協力で、世界自然遺産の島の「イノー(サンゴ礁リーフのタイドプール)」の生物多様性にふれた。

県地域振興推進事業を活用した「徳之島自然体験アクティビティ」の一つ。「夏の遠足編」ではほか▽オカヤドカリ・ウミガメ観察会(延期中)▽夜の学校で生き物観察(先月29~30日に終了)▽落花生収穫・農業体験(今月1日同)=各定員約20人・参加無料=を企画した。

「金見イノー水族館」の舞台・金見崎海岸は同町の東北端に位置する奄美群島国立公園第3種特別地域。赤土流出などの影響も受けずに無垢(く)の美しい海浜環境が保全され、世界自然遺産の島の海岸部を代表するエリアの一つだ。

同観察会メニューの受託団体は「金見イノー水族館ガイドマップ」を作成、エコツアーガイドなど地元の自然を生かした地域おこしに取り組んでいる「金見あまちゃんクラブ」(元田浩三代表)。

講師には元鹿児島大学水産学部教授(理学博士)で、元徳之島町地域おこし協力隊の鈴木廣志さん(67)=鹿児島市在住、東京都出身=を招へいした。

金見集落公民館での開会式で、元田代表(67)は参加者たちに「世界自然遺産登録で徳之島は世界の宝になった。その宝の価値知って欲しい」とアピール。鈴木さんは先立ったミニ講話の中で「生き物たちは生物多様性を維持するため、互いに我慢して譲り合って共存している。譲り合わないのは人間と類人猿だけ」とも比ゆして笑わせた。

台風一過で広がった青空の下、鈴木さんの解説を受けながらイノーを約2時間にわたって観察。タイドプールに暮すサンゴやナマコ、カラフルな熱帯魚、貝類などを見つけては子どもたちの歓声が上がった。家族と親戚の5人で参加した亀津中1年の福永愛さん(12)は「海には時々遊びにくるが、世界自然遺産に登録されてもっと知りたくなりました」と目を輝かせていた。帰り道の砂浜では漂着ゴミも拾い集めた。

鈴木さんは「徳之島との縁のきっかけは金見崎海岸名物のオカヤドカリ。徳之島の海岸はコンパクトだが色んな生物がいて多様性が高い。移動距離も少なくてすみ調査研究もしやすい」と話していた。

同体験プロジェクト(PJ)では引き続き「秋の遠足編」「芸術の秋編」「森の遠足編」「自然をまもる編」などを予定している。