継承と恒久平和誓う

犠牲者を追悼する参列者ら(龍郷町平和の塔=午前10時30分ごろ)

 

群島各地で規模縮小、遺族らが追悼式

 

 76回目の終戦の日を迎えた15日、奄美群島各地で戦没者を慰霊する追悼式があった。ほとんどの自治体では新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、参列者を絞るなど例年より規模を縮小して開催。遺族らが献花台に花を手向け、記憶の継承と世界平和への誓いを新たにした。

 龍郷町の戦争犠牲者追悼式は、とおしめ公園内の「平和の塔」前で執り行った。一般の参列を見送り、時間短縮・規模縮小で実施。遺族会員と竹田泰典町長、前田豊成町議会議長ら約30人が参列し、黙とうのあと、戦争などで命を落とした600有余の柱を祭る供養塔に向けて手を合わせた。

 竹田町長は式辞で「犠牲者の無念を思うと、胸に悲しみがつき上げる。享受している平和が尊い犠牲の上に築かれていることを忘れず、恒久平和を願って次の世代につないでいかなければならない」と強調。前田議長は「日本の平和は収束に向かいつつも、世界平和は不安定を繰り返している。豊かで安心して暮らせる龍郷町を引き継ぐことが責務だ」と呼び掛けた。

 同町遺族会の山田國治会長は式を終え、「小規模になったが、遺族会が集まれたことに感謝したい」と述べ、「コロナ禍が続くことで継承や平和教育への影響もある。遺族会も高齢化しており、町とも協力しながら若い世代に語り継ぐための施策に取り組んでいきたい」と話した。

 なお、今年は奄美市の名瀬・住用で予定していた奄美市戦没者合同慰霊祭は新型コロナウイルス感染防止の観点から中止。瀬戸内町も同様の理由で追悼式を中止した。