登録後初「徳之島部会」

希少野生動物ロードキル対策強化も世界自然遺産登録の〝宿題〟の一つだ=6月、徳之島・天城町

新型コロナ対策で初のオンライン部会に

ロードキル対策強化など確認
世界自然遺産“宿題”着実推進 来年末レポート提出へ

 【徳之島】2021年度「奄美大島、徳之島、沖縄島および西表島世界自然遺産地域連絡会議」の第1回徳之島部会と、同「奄美群島世界自然遺産地域保全・活用検討会」の第1回徳之島自然利用部会(いずれも県主催)が18日、オンラインで併催。登録に伴うアマミノクロウサギなど絶滅危惧種ロードキル(交通事故死)対策を含む世界自然遺産委員会の要請事項“宿題”の着実な推進。来年12月のレポート提出方針案など確認した。

 先月26日の第44回世界遺産委員会で、念願の世界遺産登録を実現させて以来初の部会。新型コロナウイルス対策のため完全オンラインを採用。鹿児島県や環境省、林野庁、地元3町、民間団体の代表など関係者約35人が参加した。

 冒頭、県環境林務部自然保護課の宮澤泰子課長は、登録実現に尽力した関係に「共に喜びたい」と感謝。その上で「今後は遺産価値を守る取り組みが重要に。(徳之島)『行動計画』を着実に進め、世界遺産委員会で決議された要請事項への対応も大事。一層の連携を」と改めて要請。

 議事では、極めて重要な「生物多様性」が世界遺産登録の基準になったことや、登録に伴う(1)観光管理計画(特に西表島)(2)絶滅危惧種の交通事故死対策の強化(3)包括的な河川再生戦略の策定(4)緩衝地帯の森林管理―などに関する“宿題”についても再確認。

 関係機関・団体で分担して推進中の「徳之島行動計画」進捗状況の各報告では、クロウサギ交通死多発地帯(路傍など)への「防獣ネット」設置、タンカン果樹食害対策の「農業との共生に向けた地域環境共生園づくり」など新たな取り組みも。一方、3町ネコ対策協からは、収容能力の限界、譲渡数の減少、譲渡方法の再検討―などとの報告も。

 世界遺産委決議(要請事項)に対する全体的対応では、「保護管理体制(地域連絡会議)」の下に新たに「要請事項対応タスクフォース(特別対応チーム)」を設置。科学委員会の科学的助言も受けながら、(1)観光管理(沖縄県担当)(2)ロードキル対策(環境省同)(3)河川再生(同同)(4)森林管理(鹿児島県)―で対応方策を検討・実施する。
 環境省(沖縄奄美自然環境事務所)は19年8月から運用を開始した「モニタリング計画」の評価シートも作成中で、様々な分野の専門家ら科学委員会(来月予定)へ意見照会する。

 協議ではほか、従来の「候補地」削除など同地域連絡会議「徳之島部会」設置要綱の一部改正も確認し合った。

 質疑では、同島エコツアーガイド連絡協議会側が「一部エリアへの集中に伴う環境負荷の軽減策」、徳之島町林道「山クビリ線」(施錠で一般利用限定中)などの「利用ルール」設定。観光連盟側からは、希少野生生物の自然遺産“コア(核心)地域”に傾倒しない観光案内の重要性も示していた。