登録後初「奄美大島部会」

世界遺産委員会からの宿題についてオンラインで議論された

要請事項タスクフォース設置
世界自然遺産「宿題」進め方検討 来年12月に提出へ

 2021年度「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島世界自然遺産候補地地域連絡会議」の奄美大島部会と、同「奄美群島世界自然遺産候補地保全・活用検討会」の奄美大島自然利用部会(いずれも県主催)が合同で25日、オンラインで開催された。アマミノクロウサギなど絶滅危惧種のロードキル(交通事故死)対策など、登録に伴う世界遺産委員会からの四つの要請事項(宿題)の進め方などについて、協議した。

 先月26日で世界遺産登録決定後、初の部会。新型コロナウイルス感染症対策のため、完全オンラインで開催された。奄美の世界自然遺産の維持管理のため、地域別行動計画の進捗状況などについての協議が目的。環境省、林野庁・県・5市町村・自然保護団体・観光団体など約50人が参加した。

 世界遺産委員会からの四つの宿題に対しては、地域連絡会議の下に要請事項対応タスクフォース(特別対応チーム)を設置。科学委員会の助言を受けながら、①観光管理計画(特に西表島)=沖縄県②絶滅危惧種のロードキル対策=環境省③包括的な河川再生戦略=同④緩衝地帯の森林管理=鹿児島県―で対応策を検討・実施し、来年7月までにレポートを作成、12月に世界遺産委員会に提出することになった。

 参加者からはさまざまな意見や要望が出た。▽「民間活動団体はどういうかたちで関わっていけるのか」という問いには「地域住民との関わりは重要。これから事務局で検討していきたい」▽「嘉徳川の護岸工事入札を延期してほしい」という要望には「河川再生戦略に含まれる部分については検討する」▽「外来種駆除について、こちらでもやっているが、優先順位をつけて進めてほしい」という意見には「地元の方と連携しながら、優先順位をつけて適切に対策していきたい」▽「観光管理や森林伐採について、各事業者からの意見を聞いてほしい」という要望には「地域の意見もとりまとめて反映しながら進めたい」▽「小笠原のように、奄美版利用ルールブックを作ってほしい」という要望には「県ではマナーガイドをつくっているので、新たにできたルールも反映させていきたい」▽「湯湾岳展望台の進捗状況と今後について教えてほしい」という問いには「現在修正案を作成中で、大和村と相談していく」―などの回答があった。

 また、現在奄美大島、徳之島などの63の企業・団体が参加している世界自然遺産推進共同体も、本会議に正式参加することが承認された。