自宅待機者の健康観察強化

コールセンター設置、保健所業務一部委託 知事会見
宿泊療養施設、徳之島増所も

 塩田康一知事の定例記者会見が27日県庁であり、新型コロナウイルスの爆発的感染に歯止めが掛からない中、知事は感染症対策の強化で六つの対策を発表した。県がホテルを借り上げての宿泊療養施設は喜界島など未開所のところもあり、軽症者など自宅待機を強いられている。こうした自宅待機者の健康観察で保健所業務の負担軽減を図るため、新たな取り組みとして健康観察機能を持ったコールセンターが設置された。民間への委託で県内全域を対象に対応、症状の急変などに備え自宅待機者の健康観察を強化していく。

 強化策として発表されたのは、(1)入院病床の確保(新たに78床増加し、566床確保、今後さらに増床)(2)宿泊療養施設の確保・効率的運用(鹿児島市に1施設351室の施設確保、搬送車両の追加で7台体制、入所調整にかかわる人員増強などで施設稼働率の向上)(3)中間治療施設の確保(鹿児島市に従来の宿泊療養施設と医療機関の中間的な施設確保。臨時の医療施設として酸素投与、抗体カクテル療法など実施)(4)鹿児島市と霧島市にワクチン大規模接種会場設置(16~39歳までの県民、妊婦、小学校・中学校の教職員が対象)(5)健康観察機能を持ったコールセンター設置(6)県外イベント等に参加した学生など対象のPCR検査延長(9月12日まで鹿児島空港・鹿児島中央駅などで)。

 宿泊療養施設が島内にないところもあり奄美で多い自宅待機者(医療圏別では県内で2番目の約150人=23日公表)の健康観察を目的にしたコールセンターは、自宅待機後2日以上経過し、症状が安定している人などが対象。現在保健所が行っているが、感染者の急増で疫学調査を含めて業務に影響が出ていることから、健康観察業務の一部を民間に委託するもの。自宅待機者に電話で聞き取り(体温や息苦しさなど症状に関する内容で項目別に聞き、健康観察シートに記入)をするが、従事者を200人で立ち上げ、その後千人程度まで拡充する。コールセンター開設は県内1カ所だが、対象は県内全域。知事は「まずは感染者が非常に多い鹿児島市を優先したい。コールセンターで聞き取り後、希望する保健所へ引き継ぐ形になる」と説明した。

 自宅待機者について知事は「できるだけ早くなくし、看護師などが常駐する宿泊療養施設で受け入れたいが、入所調整の問題などから稼働率が低い状況にあり改善したい」と述べるとともに、宿泊療養施設の新たな開所について奄美関係では「(今月19日に初めて開所した)徳之島で1カ所増やせないか目指したい」と明らかにした。

 現在の県内の感染状況について知事は「収束の兆しがはっきり見えない。若い人の感染が多く、デルタ株の影響が大きい。感染経路が不明な市中感染が4割ぐらいを占め、どこで感染したか分からない危機的な状況になっている」と指摘した。