新型コロナウイルスに関する医療・介護合同ミーティング(提供写真)
新型コロナウイルスは離島でも爆発的に感染者が増加しているが、新規感染者で自宅待機を余儀なくされている要介護者などの対応で適切な情報共有を図ろうと医療、介護の関係機関による研修会が奄美大島で開催された。感染者宅へ訪問するシステムを形成することで、容体急変事態などに備えていく。
大島郡医師会(コロナ班)、奄美大島介護事業所協議会、県介護支援専門員協議会奄美大島・喜界島支部の主催で、医療・介護合同ミーティングを25日に開催。WEB(Zoom)方式で行われ、医療・介護従事者だけでなく、行政職員(名瀬保健所、奄美市役所、龍郷町役場、喜界町役場など)総勢約150人が視聴した。
講師を野崎義弘医師(住用診療所所長)、小川信医師(大和診療所所長)、長谷川大氏(奄美大島地域介護サービス提供継続支援チーム代表)が務めた。今月23日の県公表で、県内には自宅待機者が1263人(奄美群島は約150人)いるが、「事実上の『自宅療養』であり、保健所により健康管理されている。他県では入院の必要性がある患者が入院できないために、致命的となっている事例がある」として、「後手に回らず『自宅療養』システムを形成」することで患者の不安を軽減、保健所の負担を軽減し、医療介護従事者の業務簡素化を目指す。
研修会では札幌医師会の取り組み(自宅療養者・入院待機者への電話診療、往診の流れ)の紹介もあった。保健所から医療機関への依頼により、▽電話診療(薬剤処方)▽電話診療、訪問看護(薬剤処方、点滴処置・指示)▽往診、訪問看護(薬剤処方、点滴処置・指示、酸素投与)―などに分けて対応がとられている。「奄美版自宅療養」の在り方として提案された。
感染拡大により医療機関のコロナ病床および宿泊療養施設に入院・入所できず、自宅待機を強いられている要介護者は奄美大島でも存在する。介護事業所協事務局の勝村克彦さんは「介護事業所は訪問介護だけでなく訪問看護も行っている。自宅で待機する要介護者はリスクが高い中、こうした要介護者だけでなく一般の自宅待機者を含めて、容体が悪化した場合にどうするか、適切に対応できるよう準備していきたい。医療、介護、そして行政の横のつながりを構築していくため、今後も研修を重ねたい」と語った。