アダンの根で筆づくり挑戦

手作りの筆と紙で試し書きをする子どもたち

安田さん講師に手熟師会子ども講習会
地域の植物材料に紙漉きも

 もの作りの魅力を伝える奄美手熟師会(岬眞晃会長)の「子ども講習会」が29日、龍郷町中勝の花ろまん染織工房であった。染色工芸家の安田謙志さんを講師に、「アダンで筆づくり」に挑戦。参加した親子らは紙を手で漉き、アダンの木の根っこを使って筆を作り、思い思いの絵を描いて楽しんだ。

 会は奄美在住の作家や職人らが交代で講師を務め、異なるテーマのもの作りを月1回ペースで開催している。この日は地域にある植物を素材に敬老の日にメッセージを届けるためのハガキを手作りし、安田さん考案のアダンの木の根で筆作りにチャレンジ。3家族9人が参加した。

 安田さんは「奄美も世界自然遺産に登録されて注目も浴びる。これを機会に少しでも奄美の植物を知って」とあいさつ。ハガキ作りでは、細かく砕いたバショウやコウゾなどを原材料に、型枠で紙を漉いたあとは天日干しで乾燥。自分だけのオリジナルハガキにと、葉っぱなども飾りつけた。

 筆作りでは、20㌢ほどにカットしたアダンの根の先端部分の皮を剥いで、むき出しになった繊維部分を筆先に仕立てた。子どもたちはハンマーなどを使って繊維部分をほぐし、なめらかになるよう整えた。完成後はみんなで試し書き。絵や文字を墨で書いて思いをしたためた。

 住用小4年生の橋口ゆいさんは「植物から紙や筆ができて驚いた」と話し、筆の使いごこちを「意外ときれいに書けた」と喜んだ。