「保全と地域の活性化」特集

奄美・沖縄世界自然遺産4島
大正大学情報誌『地域人』

 大正大学(高橋秀裕学長、東京都豊島区)は地域創生のための総合情報誌『地域人』を発刊しており、その第73号(9月10日発行)=写真=で、「奄美大島、徳之島、沖縄島北部、西表島 世界自然遺産の保全と地域の活性化」を特集している。

 巻頭インタビューは、NPO法人どうぶつたちの病院沖縄の長嶺隆理事長で、「ヤンバルクイナの絶滅は耐え難い! その熱い思いと行動が多くの人を動かした」。沖縄島北部やんばる地域のみに分布する国の天然記念物、ヤンバルクイナの絶滅を食い止めるため、ノネコ(野生化した猫)やマングース対策、ロードキル対策などを精力的に行ってきた長嶺さんを8ページにわたって紹介している。長嶺さんは「僕が今やりたいのは、自然を見て帰るだけではなく、観光することによって自然環境がより良くなる『観光による自然保護と地域への貢献』です」と語っている。

 特集では、2021年3月まで環境省の自然保護管(レンジャー職)として世界遺産登録に向けて地域と協働してきた同大学地域構想研究所准教授の岩浅有記さんと編集部が、4地域の自然を紹介するとともに、現地で環境保全と地域の活性化に取り組む人たちを取材。奄美大島は、自然写真家で奄美自然環境研究会会長の常田守さんと、㈲アーマイナープロジェクト代表取締役でNPO法人ディ代表の麓憲吾さんが登場。徳之島は、NPO法人徳之島虹の会事務局長の美延睦美さん。沖縄島北部は、NPO法人やんばる・地域活性サポートセンター理事長で一般社団法人国頭村観光協会会長の比嘉明男さん、㈱カヌチャベイリゾートリゾート代表取締役社長の白石武博さん、日本トランスオーシャン航空㈱代表取締役社長の青木紀将さんの3人。西表島は、NPO法人西表島エコツーリズム協会会長で合資会社浦内川観光代表社員の平良彰健さんが登場する。

 また、座談会「自然保護と暮らしの両立 新しい時代の世界遺産の在り方を考える」には、同大学地域構想研究所客員教授で公益財団法人屋久島環境文化財団理事長の小野寺浩さん、環境省自然環境局国立公園課国立公園利用推進室室長の岡野隆宏さん、同局野生生物課希少種保全推進室室長の山本麻衣さんが登壇している。

 その他、虫好きでよく奄美を訪れる、解剖学者で同大学客員教授の養老孟司さんも「島の魅力」を語っている。

 定価1100円(税込)。全国書店、およびネット書店で購入可能。出版社は大正大学出版会。同大学地域構想研究所ホームページやSNSでも情報を発信している。