九州一か「巨大滝」発見

今回発見された落差181㍍の滝(浜田太さん提供)

(右から)滝を発見した浜田さん、朝山毅市長、現地調査にも同行した東美佐夫副市長

写真家浜田太さん、市が現地測量調査協力
名瀬小湊地内で落差181㍍ 名称募集10月8日まで

 奄美市名瀬在住の写真家浜田太さん(67)が10日、奄美市役所で市と共同記者会見を行い、「奄美市名瀬小湊地内で巨大滝を発見した」と発表した。市が現地測量調査に協力し、落差は181㍍と公式発表した。これは九州一だという。市はこの滝の名称公募を行う。

 浜田さんは1997年、アマミノクロウサギの写真集をつくるにあたり、人跡未踏の自然を撮影しようとして奄美大島東海岸線を撮影。そのときにこの滝の存在を知ったが、当時は船上からの撮影だったので、これほどの落差があるとはわからなかったという。

 2020年5月にこの滝をドローンで撮影したところ、これまで海から見えなかった上部にも滝が続いていることがわかり、滝口からの落差をGPSで計測したところ、かなりの高さであると判明。21年7月に同市役所に正式な落差を計測して公式発表してほしい旨を依頼。市とともに8月26日に陸上、28日に海上から測量調査を行い、181㍍と正式に測定された。同市住用町のタンギョの滝が落差104㍍程度なので、それよりかなり高いことがわかる。

 この滝は同市名瀬小湊地内の太平洋沿岸にあり、小湊漁港、和瀬漁港からともに船で15~20分程度の場所にある。滝の形状は段瀑(落ち口から流れ出た水が、途中で岩などにぶつかって段を作りながら落下する滝)、海岸瀑(水が直接海に落下する滝)、分岐瀑(途中の岩に当たって分かれて流れ落ちる滝)に該当。大陸島としての地形的特徴がもたらしたものと考えられる。滝壺が沿岸の険しい岩場ということもあり容易に近づくことができなかったが、ドローン技術の進歩により、ようやくその全貌を捉えることができた。

 浜田さんは「滝の落差を知ったときは仰天した。離島でこれだけの滝があるとは驚き。奄美の懐の深さを感じる。観光するには難しい場所にあるが、新しい滝が見つかったことを、広く知ってほしい。奄美にはまだまだ我々が知らない未知の世界があることを、この滝の発見によって認識させられた。これからも探究心を持って奄美の自然に向き合いたい」と語った。

 市は、この滝について、自身で考案したオリジナルの名称またはこの滝の名称等に関する情報を募集する。市役所のホームページ経由または企画調整課広報統計係までハガキ郵送で申し込む。締め切りは10月8日。市、地域の代表および有識者による選考のうえで10月末ごろ決定の予定。滝の映像を公開するイベントなども検討中だという。