アラセツ前日に「ツカリ」行事

縁側に供え物をし、コウソガナシを祭る「ツカリ」行事。秋名の作田ヘイ子さん宅

龍郷町秋名 膳を供え祖先に祈り

 旧暦8月最初の丙=ひのえ=の日(今年は9月15日)は、国の重要無形民俗文化財に指定されている龍郷町の「秋名のアラセツ行事(ショチョガマ、平瀬マンカイ)」が秋名・幾里地区で行われる。前日の14日は、地域住民が自宅の縁側にごちそうを供え、コウソガナシ(屋敷内にいる神)を祭る「ツカリ」と呼ばれる行事があり、家内安全、健康などを祈願した。

 秋名在住の作田ヘイ子さん(89)宅でも同14日、「ツカリ」が行われた。お膳二つ分の赤飯(新米に小豆)、野菜の煮物の上に魚を乗せた皿、ニラ料理、黒糖焼酎、ミキ、果物などを供え、線香に火をつけ、手を合わせた。翌朝は、「ショチョガマ」が倒れる前に同じお供え物をし、赤飯はもち米を使うという。

 作田さんは家内安全などを願い手を合わせ、「代々受け継ぎ65年間、あたりまえのように習慣になっている。子どもや孫の健康を願い先祖に感謝」と話した。

 アラセツ行事当日の早朝、100人以上の男たちが稲の豊作を願い小屋を倒す「ショチョガマ」は新型コロナウイルス感染リスクが高いとして中止。ネリヤカナヤ(海のかなたの神々)に祈りを捧げる「平瀬マンカイ」は無観客で15日に行われる。