「平瀬マンカイ」

五穀豊穣をネリヤカナヤの神々に願った平瀬マンカイ=15日午後4時15分=

ショチョガマの実施場所で行われた祭事=同日午前6時11分=

今年も途絶えることなく開催 龍郷町秋名・幾里
「ショチョガマ」中止も祭事で祈り

 旧暦のアラセツ(新節)の15日、龍郷町の秋名集落で、秋の実りへの感謝と五穀豊穣の祈りを捧げる平瀬マンカイが行われた。ネリヤカナヤ(海のかなたの神様)に向けて祈る同行事は、新型コロナウイルス感染拡大防止のため昨年に引き続き行事の保存会会員と秋名・幾里集落住民のみ参加。例年多くの観光客らが訪れる行事だが、2年続けて実質無観客の開催となった。

 同集落のアラセツ行事は400年以上の歴史を誇り、毎年旧暦の8月最初の丙=ひのえ=の日に合わせて開催されており、国の重要無形民俗文化財。戦中戦後に一時途絶えた時期を経て1960年に「秋名アラセツ保存会」が設立され、次世代継承を図っている。同日の日の出前に実施する行事「ショチョガマ」は、人の密集を避けられないことから2年連続の中止を余儀なくされたが、今年は地域住民の要望があり祭事のみ行われた。

 平瀬マンカイ当日は天候に恵まれ、満潮の午後4時ごろに秋名湾西側の海岸で実施。しめ縄が張られた「神平瀬」にノロ役の白装束を着た女性、集落側の「女童(メラべ)平瀬」にはグジ(宮司)役の男女計7人が上がり、五穀豊穣を願う唄を掛け合い、手踊りを奉納。平瀬(岩)から下りた後は、スス玉踊りなどを披露した。

 同保存会の窪田圭喜会長(80)は平瀬マンカイについて、「途絶えることなく続いている行事を開催できたことが喜び。今年、奄美大島が世界自然遺産に登録されたこともあり、来年こそはコロナが終息し、多くの方に見に来ていただけたら」と話した。