新型コロナ島外搬送

自衛隊や海上保安庁にも要請し行われている新型コロナウイルス感染者の島外搬送(資料写真)

8月は喜界、徳之島からも
病状重篤、島内受入不可能で

 新型コロナウイルス感染で病状が重篤である場合や島内に受入病床が確保できない場合、県は感染者を島外に搬送している。離島でも感染者が爆発的に増加した8月は計12回34人に及び、このうち奄美群島では喜界島と徳之島で島外搬送措置がとられた。

 17日にあった県議会代表質問で、離島における島外への搬送体制について取り上げられた。谷口浩一くらし保健福祉部長の答弁によると、県調整本部に自衛隊、海上保安庁をまじえて搬送部会を設置して離島の搬送体制を整備。島外搬送にあたっては、まず県消防防災ヘリや民間チャーター機により県独自の搬送手段を検討し、これらの搬送手段が困難な場合、「重症者等に限り自衛隊または海上保安庁にヘリ等の派遣要請を行うこと」としている。

 7月以降の島外搬送実績(県新型コロナウイルス感染症対策室まとめ)をみると、7月5回17人、8月12回34人、9月は17日現在で1回1人。このうち奄美関係は7月が与論島から3回15人、8月は喜界島から1回3人、徳之島から6回16人の搬送が行われている。9月の1回1人は徳之島からの搬送者。

 島外搬送が行われた喜界島は8月11日以降に感染者が急増。累計89人となり、このうち地元の医療機関では87人を確認。中等症8人、軽症79人で、6人が医療機関に入院(うち3人は島外)、81人が自宅待機となった。また、8月に入り飲食店、医療機関と二つのクラスター(感染者集団)が発生した徳之島の8月以降の感染者は200人を超える数となった。

 離島における感染者の島外搬送は8月に増加したが、鹿児島市内など受け入れる医療機関の病床状況、さらに台風や大雨など気象条件にも左右される。島内で対応できなくなった場合、状況によっては医療措置の空白が生じる可能性がある。