希少種の密猟密輸対策へ

希少種の密猟・密輸対策に向けて啓発チラシを配手渡す調査員ら(提供写真)

環境省が動植物持ち出しを調査
奄美空港で始まる

環境省は18日、奄美市笠利町の奄美空港で野生動植物の持ち出しに関する調査を開始した。同空港での調査は初の試み。乗客が持ち込む動植物の状況・実態を把握することで、今後の水際対策や現地の監視体制強化など、希少種の密猟・密輸対策に生かしていく。

希少動植物の持ち出しは国の法律、県や自治体の条例などで規制されており、奄美空港では、2019年4月にアマミイシカワガエルなど希少種28匹を無断で捕獲したとして東京都内のペットショップ店員らが検挙される事件が起きている。近年は捕獲や採取が禁止されている世界自然遺産区域での昆虫トラップの設置も相次ぎ発覚。同省は空港関係者と協力して研修会を開くなど、希少種の保護に向けた対策強化を急いでいる。

調査は26日までの一週間。空港内に調査員が待機し、動植物の持ち出しが見られる乗客の同意を得た上で手荷物などを確認。種名や捕獲場所などを調べ、対策に向けた基礎データを集めていく。

期間中は、来島者への希少種保護に向けた啓発チラシもあわせて配布。違反する事案が確認されれば、通報も行っていく。

同沖縄奄美自然環境事務所奄美群島国立公園管理事務所の後藤雅文離島希少種保全専門官は「これまでは問い合わせごとに対応してきたが、どこで捕獲されたのかなど(被害の)実態が不明瞭だった」と調査の経緯を説明。「島の自然を守るため、関係者が一丸となって対策に取り組んでいきたい」と話した。

なお調査は10月にも予定。現在、日程を調整している。