仏コンクール、黒糖焼酎部門で審査員賞

フランスで開かれた「Kura Master2021本格焼酎・泡盛コンクール」で審査員賞を受賞した朝日酒造の銘柄「壱乃醸朝日」(提供写真)

朝日酒造「壱乃醸朝日」
黒糖の香りの良さ「フランスでも認識、自信に」

 フランスの一流ソムリエらプロが選んだ最高の酒として「Kura Master2021日本酒・本格焼酎・泡盛コンクール」のプレジデント賞・審査員賞が20日、現地で発表された。コンクールに本格焼酎・泡盛が加わったのは今回が初めてで、審査員賞に黒糖焼酎部門では喜界町の朝日酒造㈱(喜禎浩之社長)の「壱乃醸朝日」が選ばれた。

 フランスで開かれている同コンクールは、同国の歴史的食文化でもある「食と飲み物の相性」に重点を置くのが特徴。プレジデント賞はすべての出品酒の中から選ばれる最高賞、審査員賞は各出品カテゴリーのトップ5またはトップ2から選ばれる賞。

 今回、初開催となった「本格焼酎・泡盛コンクール」には、芋、米、麦、黒糖、泡盛、樽貯蔵(焼酎・泡盛)の6部門に全国75蔵から164銘柄が出品された。最高賞のプレジデント賞は知覧醸造㈱(南九州市)の「知覧Tea酎」が受賞した。

 11銘柄の出品があった黒糖焼酎部門では、プラチナ賞を2、金賞同の計4銘柄が受賞。2銘柄が受賞したプラチナ賞の中から審査員賞が選ばれたもので、朝日酒造の喜禎社長は「オンラインで参加し現地での発表の模様に接した。受賞はとれもうれしく光栄なこと。あわせて地元・奄美や県の酒造組合のみなさん、黒糖焼酎の英文サイトの開設で海外発信に協力していただいたジェトロ鹿児島貿易情報センターに感謝したい」と喜びを語った。

 黒糖焼酎は日本の中でも奄美群島でしか製造されておらず珍しさの一方、知名度の低さから本格焼酎の原料別カテゴリーでは芋や麦などと異なり「その他」に分類されることが多いという。喜禎社長は「フランスでのコンクールで黒糖焼酎部門が設けられたことが喜びであり、コンクール実行委員の方々は奄美にも来て蔵元を訪ねており、本格焼酎のカテゴリーの一つとして黒糖焼酎が認識されたのではないか。黒糖の香りの良さがフランスの方々にも評価されたことで、自信をもって欧州などいろんな国に提案していきたい」と意欲をみせる。

 受賞銘柄の「壱乃醸朝日」は、自社他商品比2・5倍の黒糖を原料として使っており、黒砂糖そのものの香りがある。より黒糖感が強いだけに、食中酒として甘辛い料理、中華やカレーなど刺激の強い料理でも相性がいいという。

 主催者側によると、第5回目となる今年度から本格焼酎・泡盛コンクールを新設し、審査対象を拡大。コンクールや試飲会、各種イベントを通して「食と飲み物の相性のよさを体験する機会をつくり、フランスをはじめとした欧州市場へ日本酒、本格焼酎・泡盛などをアピールする場を提供していく」としている。