宇検村で防災ワークショップ

地域ごとに分かれ、分散避難を検討する参加者ら

安全な避難先を確保せよ
台風や高波、「分散避難」で備え

 宇検村主催の「防災ワークショップ」が23日、同村生涯学習センターであった。テーマは「湯湾地区での個々の避難行動を考える」で、参加者らは台風や高波など最悪の事態を想定し、住宅や民家などを頼る「分散避難」を検討。いざという時にみんなが安全な避難先を確保できるよう備えた。

 ワークショップは、今後の村防災計画策定を見据えて実施。この日は村職員や消防団員、班長や民生員など湯湾地区の住民38人が参加した。

 講師は鹿児島大学共通教育センター教授の岩船昌起さん。岩船さんによると昨年九州に接近した台風10号では、感染防止対策で避難所の定員を減らしたこともあり、“定員オーバー”が各地で生じた。試算によると村民全員の避難を想定した場合は約1万7千平方メートル、同学習センター10個分の施設が必要。また、同村の居住地には標高5メートル前後の低標高地も多く、大規模な災害時には集落が孤立する可能性も高い。講義では「大きな避難所でも全員が入れるとは限らない。分散避難も想定すべきだ」と強調。「最悪を想定し検討してほしい」と訴えた。

 ワークショップでは在住地域ごとに五つの班に分かれ、全戸が記載された住宅地図を使って分析。猛烈な台風で避難情報のうち最も高い警戒レベル5が発令され、5メートルの高潮が発生したと想定。参加者らは公共の避難所のほか、地区内の高層で堅牢な知人・親戚宅など避難所になりそうな建物をリサーチ。家族構成や避難時に助けが必要な要介護者を抽出し、優先順位や避難先を割り振るなど話し合った。

 参加した直三男也さんは「円滑な避難には集落の連携や住民一人ひとりへの正確な周知が大切だと改めて感じた」。岩船さんは「コンクリート造りの学校などは貴重で定員はすぐに超過する。全体でも調整は必要。しっかり備えてほしい」とアドバイスした。