豪族だった和家のサンゴ塀の前で6号を持ってPRする三田さん
「奄美の当たり前は、当たり前じゃない素晴らしさに満ちている」と銘打ってフリーペーパーVol・6が、このほど大和村集落まるごと体験協議会から出版された。特集は「海を越えてムチャカナ伝説をめぐる」。出版・編集に携わっている同会事務局の三田もも子さん(40)に話を聞いた。
これまでのバックナンバーの特集記事は、2017年9月初出版の①ハブと人、続いて②奄美の年中行事③海辺の生活④ミキ⑤高倉⑥ムチャカナ―と奄美大島内の文化や民俗を紹介。部数2千部。
三田さんは、新潟県の雪深い十日町出身。東京で旅行ガイドブックの出版編集の仕事に就いていた。旅行が好きで、どこに住もうかと考えながら、たどり着いたのは瀬戸内町加計呂麻島の宿だった。「奄美はいいところだなあ」と感じた。5年前のことだ。
大和村が「地域おこし協力隊」を募集することを知り、すぐに応募。採用され、大和村役場へ。この間、結婚、産休、出産と大和村の人口増にも一役買っている。「奄美は近所の人がかわいがってくれるので、子育てしやすい。海も日本海と違っていい」と移住生活を楽しんでいる。
大和村に移住し、協力隊での仕事も3年目を迎えたときに、「東京で培ったノウハウを生かしたい、自分の好きな得意分野で奄美の面白い文化、驚く文化を、手に取りやすいフリーペーパーで作りたい」と最初の3冊は自費出版した。
「奄美の驚く文化、民俗など、すぐに馴染んでしまうので、新鮮なうちにやりたかった」と、大和村だけでなく、奄美群島全体を視野に入れたフリーペーパー企画を提案。デザイン・絵をさいきみきさん、著述を三谷晶子さんと南琴乃さんらが手弁当で協力、4号からは制作費がわずかだが出るようになった。
今後は台風やサンゴを取り上げていく予定。
「Iターン者だけでなく奄美の若い人たちにも知られていくといいなあと思っている。失われていく文化を記録していきたい」と意気込む。また、今後は広告も広く募集する予定。連絡先は「大和村集落まるごと体験協議会」事務局090・6112・2872三田もも子さんまで。