奄美市20年度決算

一般会計実質収支 9億5170万円の黒字
歳入歳出ともに過去最大規模
コロナ給付金で国庫支出金大幅増

 

 

 奄美市はこのほど、2020年度一般会計と特別会計の歳入歳出決算を公表した。一般会計は歳入総額417億6695万円(前年度比15・44%増)、歳出総額404億9334万円(同14・51%増)。国民全員に10万円を給付する「特別定額給付金」43億円など新型コロナウイルス感染症対策関連補助金などが増加したため、国庫支出金が133億2137万円(同79・43%増)と大幅に増え、歳入歳出ともに初めて400億円を超える過去最大規模となった。歳入から歳出と翌年度に繰り越すべき財源3億2190万円を差し引いた実質収支は9億5170万円の黒字。一方、繰り上げ償還や積立金取り崩しなどを加味した実質単年度収支は2億1802万円の赤字となっている。

 一般会計の歳入を財源別にみると、市税など自主財源が78億6689万円(構成比18・88%)。市税は41億6853万円(前年度比0・58%増)と微増、基金などからの繰入金は14億6530万円(同19・04%減)だった。

 国庫支出金などの依存財源は338億8006万円(同81・12%)となっており、内訳は地方交付税122億3994万円、県支出金24億1740万円、市債47億810万円など。特別定額給付金などにより国庫支出金が大幅に増えた影響もあり、自主財源の占める割合は前年度(同23・69%)から4・86ポイント低くなっている。

 歳出では投資的経費が68億4168万円で、前年度比7・06%増。内訳は普通建設事業費が65億6464万円で同8・25%増、災害復旧費は台風被害などの減少もあり同15・06%減の2億7703万円だった。

 20年度に完了した主な事業は、名瀬農村環境改善センター改修、金久中学施設整備、住用診療施設等整備、笠利中学校校舎改築。継続事業は、食肉処理施設整備事業、あやまる岬エリア観光拠点整備事業などとなっている。

 一般会計と特別会計を合わせた決算総額は、歳入529億2093万円、歳出514億8744万円。形式収支は14億3348万円の黒字で、翌年度へ繰り越すべき財源を差し引いた実質収支は11億1158万円の黒字を計上した。

 国民健康保険事業特別会計は、歳入50億9004万円、歳出49億4848万円で、1億4155万円の黒字。前年度の実質収支を差し引いた単年度収支は9160万円の黒字となり、2年連続の黒字となった。
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 普通会計を基に財政状況を判断する「財政力指数」(1に近いほど財政力が強い)は0・27で5年連続同じ。

 一般財源に占める人件費や扶助費、公債費などの割合を示し、80%を超えると財政構造の弾力性を失いつつあるとされる「経常収支比率」は93・4%で、前年度(93・6%)から0・2ポイント改善したものの、依然として厳しい状況が続いている。

 収入に占める借金の割合で、18%を超えると危険ラインとされる実質公債費比率は9・5%で前年度から変化なし。市町村合併した06年度は危険ラインを上回る18・6%だったが、08年度からは危険ラインを下回っている。

 市債の20年度末残高は435億8408万円で、市民一人当たり負担額は前年度から2万8千円増え、103万8千円の借金を抱えている計算になる。

 監査委員は審査意見書で「単年度収支は黒字となっており、財政健全化に向けた努力の成果が表れている」とした一方、依然として財政力指数や経常収支比率などが示す財政状況が厳しいことから「財政計画に基づく財政規律を順守し、市税や使用料等の自主財源の確保、必要性、緊急性を勘案した事務事業の執行、費用対効果の観点に立ったコスト意識の徹底など財政指標に十分配慮しながら、将来を展望した計画的な財政運営によって健全財政が堅持されるよう一層努力することを期待する」としている。