ロードキル対策強化を

奄美・沖縄 科学委 外来種・違法採集対策も

2021年度「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」世界自然遺産地域の第1回科学委員会(委員長・土屋誠琉球大学名誉教授、委員13人)が22日、オンラインで開催された。関係行政機関など約60人が参加。国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産委員会が要請した4項目の課題への対応方針を了承し、特に絶滅危惧種のロードキル(交通事故死)対策について、強化するよう指摘があった。また、外来種対策などについても計画的に対応するよう意見があった。

4項目の課題、対応方針了承

科学委員会は、さまざまな分野の専門家で構成されており、自然環境の保全管理について科学的な助言を行っている。

世界遺産委員会からの四つの要請(1)観光管理計画(特に西表島)(2)絶滅危惧種のロードキル対策(3)包括的な河川再生戦略(4)緩衝地帯の森林管理―について、地域連絡会議の下に、関係行政機関・地域関係団体・専門家により構成される要請事項対応タスクフォース(特別対応チーム)を設置。要所要所で科学委員会の助言を受けながら、対応策を検討・実施し、来年7月までにレポートを作成、12月に世界遺産委員会に提出することで了承された。特にロードキル対策について、決定的な対策がまだ見つかっておらず、抜本的な対策が必要との意見が出された。

ユネスコの諮問機関である国際自然保護連合(IUCN)から指摘されていた、外来種対策や希少動植物の違法採集対策についても議論された。外来種について、「現在入り込んでいるツルヒヨドリなどの外来種について、どう計画的に進めていくかが大切」「今はまだ4島には入り込んでいないが他の島には来ている種もある。これらを入れない予防も重要」など、多くの意見があった。

また、遺産地域において、遺産価値を将来にわたって維持または強化するため、遺産価値を表す固有種・絶滅危惧種の生息・生育状況、その生息・生育環境の保全状況および影響要因についてモニタリングを行っており、19年度のデータをもとにしたモニタリング計画結果についても、議論された。