ウミガメミーティング

2021年奄美大島におけるウミガメ類産卵回数

アカウミガメの産卵が過去最少か
奄美海洋生物研究会オンラインで中間報告

奄美海洋生物研究会(興克樹会長)は25日、ウミガメミーティングをオンラインで開催し、2021年度の奄美大島でのウミガメの産卵状況、リュウキュウイノシシによるウミガメ卵の被食状況についての中間報告を行った。アカウミガメの産卵回数(37回)は昨年同様減少し、過去最少となることが予想されるとした。

ウミガメは北太平洋や、エサ(貝や甲殻類)の多い東シナ海に多く生息し、繁殖期になると日本各地の海岸に産卵のため上陸する。鹿児島県でも奄美大島の海岸には多くの上陸が確認され、同研究会が調査集計を継続的に行っている。今回の中間報告は奄美市名瀬大浜海岸で興会長が報告を行い、新型コロナウイルス感染拡大を考慮してオンラインでの開催となった。

21年に奄美大島で確認されたウミガメの産卵回数(龍郷町、笠利町を除く)は256回(アカウミガメ37回・アオウミガメ218回)。前年の546回(アカウミガメ111回・アオウミガメ335回・不明100回)と比較すると46・8%、アカウミガメは33・3%にとどまっている。また過去最少だった19年の293回(アカウミガメ116回・アオウミガメ166回・不明11回)と比べると87・3%、アカウミガメは31・8%になる。興会長によると、このまま推移した場合の今年度の最終集計予想は、アカウミガメの産卵回数は50回ほど、全体でも300回以下で、過去最少だった19年を下回るとみている。

産卵回数が減少した原因として、興会長は「奄美近海のアカウミガメが多い東シナ海で、エサである貝や甲殻類が減少した。また同海域での漁業活動に伴う混獲や、中国での頻繁な密漁なども要因のひとつに考えられる」と述べ、「現在、奄美の海岸約100カ所で行政や各種団体などと連携しながら調査している。
産卵回数の減少原因を追究するには、引き続き継続的な調査と集計作業が必要になってくる」と話した。