県議会一般質問

離島における急患搬送などを行っている鹿屋航空分遣隊のUH‐60J型救難ヘリ(海自鹿屋航空基地ホームページから)

離島急患搬送維持「強く要請」
海自鹿屋航空分遣隊 機体の22年度除籍で

9月定例県議会は27日、引き続き一般質問があり、小幡興太郎議員=自民党、出水市区=、福司山宣介議員=県民連合、鹿児島市・鹿児島郡区=、向井俊夫議員=自民党、奄美市区=、田畑浩一郎議員=自民党、南九州市区=が登壇。向井議員が取り上げた夜間や悪天候時に離島の急患搬送を担う海上自衛隊鹿屋航空基地(鹿屋市)内の第22航空隊鹿屋航空分遣隊の機体除籍に伴う対応について塩田康一知事は「県民の生命にかかわる重要な問題」として国に対し、離島急患搬送体制の維持を強く要請する考えを示した。

城集落内国道拡幅 海側の可能性調査

夜間などにおいて県のドクターヘリや消防防災ヘリの出動が困難な場合、県知事は自衛隊に搬送(出動)を要請。鹿屋航空分遣隊では1961年以降、2020年末までに2505人の急患搬送を実施している。このうち20年の実績は計56人で、奄美関係は奄美大島13人、喜界島3人だった。

知事は「19年5月に防衛省から『自衛隊による急患搬送は航空自衛隊に一元化することに伴い海上自衛隊鹿屋航空分遣隊の救難機(UH‐60J型救難ヘリコプター)について数年以内に除籍する予定』との説明があった。県では県開発促進協議会などさまざまな機会をとらえ、防衛省や九州防衛局などを訪問し代替機または後継機の配備により離島における急患搬送体制を維持するよう要請してきた」と説明。今年の8月末、防衛省から「鹿屋航空分遣隊の救難機について22年度までに全ての機体を除籍し、これまで同機が実施してきた離島における急患搬送について全自衛隊が共同して引き続き適切に対応するとの説明があった」と知事は報告するとともに、「自衛隊による離島からの急患搬送は、南北600キロにわたる広大な県域に27の有人離島を有する本県にとって県民の生命にかかわる重要な問題であることから、県開発促進協議会の要望活動などの機会をとらえて防衛省を訪問し、離島急患搬送体制が維持されるよう強く要請したい」と述べた。

知事は、県道名瀬・瀬戸内線の奄美市名瀬根瀬部と大和村国直間で整備が進む宮古崎トンネルの進ちょく状況と開通予定についても答弁。14年度から延長約2・9キロのバイパス整備に着手し、これまでに延長約2・3キロのトンネル本体工事が終了、「現在残る舗装工事を進めているところであり、今年度中の供用開始を予定している。沿線住民の安心安全、利便性の向上が図れることはもとより、奄美大島の観光振興、地域の活性化に大きく寄与する」との期待を示した。

国道58号線関係で奄美市笠利町喜瀬集落の通学路、同市住用町城集落内の拡幅については兒島優一土木部長が答弁。それによると喜瀬集落の通学路は学校や警察と連携して合同点検を進めており、今後、合同点検で抽出された危険箇所について対策案の検討を行い、対策を実施していく。城集落は、集落背後地にバイパス整備を予定していたが、奄美市において「字図混乱の解消が極めて厳しい」との認識が示されたことから、海側への現道拡幅の可能性について地籍調査を進めるとともに関係者の用地等の協力確認が行われている。兒島部長は「道路整備の必要性について認識しており、調整が整った時点で整備を検討したい」と述べた。

奄美大島・徳之島の世界自然遺産登録についてコロナ禍での広報、PRについての質問があった
。松下正環境林務部長は答弁で「当初、登録後速やかな実施を予定していた」と述べ、8月に入り感染者が全国的に急増したことから実施時期を見直し。首都圏の空港、駅などでのデジタルサイネージ(ディスプレイを通じてさまざまな情報を発信するシステム)活用は11月ごろ、旅行ガイドブックやアウトドア雑誌を活用したPRは11月ごろから3月にかけての実施を予定している。