県議会一般質問

今年7月の台風6号では定期フェリーの長期欠航が続き、8日間欠航後の名瀬港への入港では通常の約3倍の積み荷が陸揚げされた(7月26日午前7時ごろ)

奄美航路8日間、屋久島6日
台風6号でフェリー長期欠航

 9月定例県議会は28日、引き続き一般質問があり、日高滋議員=自民党、西之表市・熊毛地区=、鶴丸明人議員=自民党、霧島市・姶良郡区=、中村素子議員=自民党、阿久根市・出水郡区=、鶴薗真佐彦議員=自民党、薩摩川内市区=が登壇。離島における交通機関の長期欠航による影響では、台風6号の影響により鹿児島―奄美―沖縄航路が7月18日から8日間、鹿児島―屋久島航路は同19日から6日間、フェリーの欠航が続いたことが報告された。

 離島生活の安定確保の中で日高議員が取り上げ、房村正博地域政策総括監が答弁。奄美を含む離島における今年7月の台風6号による影響について市町村によると、水産業は大きな影響が確認できなかったものの、船舶などの欠航により食料品の品薄や果実の出荷への影響が発生したとの回答が多く、なかには医薬品の不足があったという団体もあったという。

 県では昨年、関係市町村、海上保安庁、海上自衛隊、旅客船協会など台風時における離島の物流対策について意見交換を行い、課題の整理や対応策の検討を行っている。房村総括監は「この結果を踏まえて当面の措置として関係機関に対し、緊急時の輸送支援、フェリーの臨時運航、医薬品など重要物資の優先輸送等について要請を行うとともに、市町村と連携し広報誌や防災行政無線を活用、住民に対し備蓄する物資の量や目安など普及啓発をしている」と述べた。農作物の出荷対策では、これまで農業団体などに対し国の補助事業等を活用した予冷施設の整備を支援しており、これらの施設を活用し一時保管が行われている。

 奄美の世界自然遺産登録に関しては、屋久島の教訓を生かした取り組みについての質問があった。松下正環境林務部長は「屋久島では世界自然遺産登録により知名度が大きく向上し、観光客増加の効果をもたらした一方で、観光客が山岳地域に集中したことで縄文杉ルートの混雑、登山道やその周辺植生の荒廃などの課題が生じたことから、利用ルールの設定や木道の整備など対策が進められた」と述べるとともに、こうした屋久島の事例を踏まえて県では2016年に奄美群島持続的観光マスタープランを作成したことを報告。松下部長は「保護上、重要な地域である奄美大島の金作原などについて利用ルールの運用を行うとともに、利用の分散を図るため奄美自然観察の森や世界自然遺産奄美トレイルの整備活用を進めている」と述べ、保全と利用の両立の必要性を強調した。

 塩田康一知事は屋久島と奄美について「二つの世界自然遺産の連携で誘客拡大を図る必要がある」とし、「交流人口の拡大で地域経済の活性化や観光振興に大きく寄与するものとして屋久島空港の滑走路延伸の早期事業化に向けた取り組みを進める」との決意を示した。