県議会一般質問

新型コロナで人権相談窓口
重度心身障がい者医療費助成見直し市町村財政影響も考慮
「ゆずり葉の郷」活動評価

9月定例県議会は引き続き一般質問があり、米丸麻希子議員=自民党、姶良市区=、安楽英美議員=県民連合、鹿児島市・鹿児島郡区=、山田国治議員=自民党、霧島市・姶良郡区=、大園清信議員=自民党、鹿児島市・鹿児島郡区=が登壇。新型コロナウイルスの感染者・家族、医療従事者、ワクチン接種ができない人・接種しないを選択した人への「不当な差別・偏見が生じている」との報告があり、こうした人権相談などに関する窓口設置を今回の補正予算に計上していることが説明された。

9月補正予算案(一般会計)に計上されているのは、新型コロナ緊急人権対策事業(689万2千円)。差別や県民の不安を解消するため啓発活動を行うとともに、人権相談窓口を設置するもの。この相談窓口について奥一彦男女共同参画局長は「電話に加えメールやFAXで相談を受けるとともに、必要に応じ相談内容を記入しやすいよう専用のシートを合わせて利用してもらい聴覚障がい者など要配慮者にも配慮していく」と述べた。

ワクチン接種を希望しない人への対応は谷口浩一くらし保健福祉部長が答弁。基礎疾患やアレルギーなどの理由からワクチン接種できない人もおり、また接種を望まない人へ強制するものではないとしたうえで「接種は本人の意思に基づいて行っているものであり、接種しないことを選択した人への誹謗中傷等があってはならない。県としてはこれまで知事メッセージの中で発信しており、今後もさまざまな機会をとらえて周知していく」と述べた。

重度心身障がい者医療費助成制度については、安楽議員が現在の償還払い(医療機関の窓口で支払った後、市町村へ申請)ではなく、負担軽減が図れる現物給付(医療機関の窓口での支払いなし)への見直しを強く要望。塩田康一知事は「窓口負担ゼロや手続きの簡素化など重度心身障がい者と家族の利便性の向上や経済的負担の軽減を図るため、制度変更について現在検討を行っている。一方で制度変更に伴う県や市町村の財政への影響も考慮する必要があることから、検討にあたっては都道府県の調査や市町村との協議・調整を行い慎重に進めていく必要がある」と述べ、こうした状況から見直し時期や制度開始時期を示すことは難しいとした。

谷口部長は「変更にかかる検討にあたっては制度変更を行っている他県の状況を調査し、参考にしながら進める必要がある」としたものの、新型コロナの全国な感染拡大により実地による聞き取り調査実施が難しいことから、文書による調査など調査方法について検討しているとした。

現物給付化の全国な動きについては昨年度実施した調査結果が報告された。それによると現物給付方式を導入している38都道府県のうち、35都道府県で自己負担や所得制限を導入、20府県は所得や年齢などに応じて償還払い方式や自動償還払い方式との併用で制度を運用している。谷口部長は「現物給付でもそれぞれの都道府県の実情からさまざまな制度的工夫がなされている」と述べ、今後詳細な調査を行い市町村の意見も参考にして制度見直しを検討する方針。

大園議員が取り上げたNPO法人奄美青少年支援センター「ゆずり葉の郷」活動の評価について、塩田知事は「青少年育成で相談、支援、武道、地域奉仕など尽力しており、他団体と連携しネットワークを構築するなど多大な貢献をいただいている」、山田好孝県警本部長は「不登校や非行など青少年支援で地道な活動により健全育成に取り組み高く評価しており、今後も連携していきたい」と述べた。また青少年の自立援助ホームとしての役割から大島児童相談所との連携も報告された。