「ダイサギソウ」盗掘の疑い

盗掘されたとみられる「ダイサギソウ」(環境省提供)

株ごと盗掘されたとみられる箇所(龍郷町提供)

絶滅危惧種、龍郷町の山中で
パトロールを強化

 龍郷町の山中で絶滅危惧種「ダイサギソウ」の盗掘が疑われる事案が発生した。4日に環境省、奄美署、龍郷町の3者で現場を確認し、パトロールを強化している。

 現場は龍郷町内の山中(詳細地点は希少種保護の観点から非公開)。9月26日に奄美シダ類研究会会員が生育を確認していたが、10月2日に同会会員が同種の窃盗疑いを発見し、環境省奄美野生生物保護センターに報告。同センター経由で龍郷町に報告し、龍郷町から奄美署に通報した。4日に環境省、奄美署、龍郷町の3者で現場を確認、現場周辺をパトロールした。

 6日には奄美大島自然保護協議会(5市町村)に共有され、定期的にパトロールを実施している。順次市町村広報誌などで住民を中心に条例の周知を図り、希少種保護に努めていくという。

 ダイサギソウは環境省レッドリストの絶滅危惧ⅠB類。山地の日当たりのよい林縁に生える地生ランで、奄美大島、徳之島などに分布。ダイサギソウの名は、美しい白色花をシラサギの飛ぶ姿に見立ててつけられ、貴重な自生地での盗掘が繰り返された(山下弘著『奄美の絶滅危惧植物』参照)。

 奄美大島5市町村では、島固有の種や数の少ないもの、盗掘盗採のおそれがある動植物を守るため「希少野生動植物の保護に関する条例」を制定しており、ダイサギソウもこれに該当する。違反すると1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科される。

 龍郷町は「世界自然遺産に登録され、国内外から注目されている中で、非常に残念な出来事。希少種等については、各市町村や奄美大島自然保護協議会ホームページでも周知しているので、豊かな自然を島民一丸となって守っていきたい」としている。