市集落のみに伝わる「枕踊り」に興じる受講者ら
鹿児島大学主催の「奄美群島に特化した起業家・職業人を育てる教育プログラム」の現地実習が9日、奄美大島であった。受講者らは「環境型文化」をテーマに奄美市住用町の市集落などを訪ね、フィールドワークや聞き取りなどを通して、集落独自の自然や文化の一端にふれた。
文部科学省委託事業で、奄美群島の環境型文化を新たな仕事創出に生かそうと学ぶ教育プログラム。環境型文化とは自然や歴史との調和の中で培われた暮らしや集落に息づく伝統文化・地域特性で、3週間のオンライン講義を終えた奄美群島内在住の45人が2日間の実習に臨んだ。
講師は同大准教授の小栗有子さん、奄美博物館館長の高梨修さん。受講者らは同町のマングローブ群落を見学した後、バスで市集落を訪ねた。
集落では同集落の森紘道区長、山下茂一さんらを案内役に、氏神や城跡など伝承地や伝統行事にゆかりのある地を巡った。公民館では集落の地理や歴史、生業などが講話。古くから伝わる喜界島との交易、むちゃ加那伝説なども教わった。
市集落のみに伝わるという角材を打ち鳴らす遊び「枕踊り」やお手玉を使った「米搗=こめつき=歌」体験では、集落の古老らが遊び方を指導し交流。最後は聞き取りやパネルディスカッションもあり、集落の地域特性やバックグラウンドにも理解を深めた。
喜界町地域おこし協力隊の谷川理さんは各集落を比較することで喜界町のPRに生かしていこうと参加。「生で現地や文化を確認できてよかった。喜界町の発展に生かしていきたい」と話した。
講師の小栗さんは「他集落の違いを知った上で自分たちは何を生かし何を残すのか。地域や仲間と考えるきっかけにしてほしい」と話した。
きょう10日は、龍郷町の秋名幾里集落を巡る。