大島、初の頂点へ

【決勝・鹿児島城西―大島】殊勲のサヨナラ打を放った西田(右端)を迎え入れる大島ナイン=平和リース

2試合連続延長13回サヨナラ勝ち
秋高校野球最終日

【鹿児島】第149回九州地区高校野球大会鹿児島県予選最終日は13日、鹿児島市の平和リース球場で決勝があった。

大島が鹿児島城西と対戦。準決勝・樟南戦に続いて2試合連続となるタイブレーク方式による延長十三回まで続いた熱戦を、サヨナラ勝ちし、初優勝を勝ち取った。

大島、鹿城西の2校は九州大会(11月6日―・鹿児島)に出場する。

 試合結果は次の通り。
  =平和リース=
 ◇決勝戦
鹿児島城西
1011100000000  4  
0010003000001× 5
(延長13回タイブレーク) 
大島
【鹿城西】津波、池野、津波―黒川
【大】大野―西田
▽三塁打 直江(大島)、池野(鹿城西)
▽二塁打 藤田(鹿城西)
(鹿城西)
47134134511315
打安点振球犠盗併失残
428513610009
(大)

【評】2点を追いかける大島は三回裏、先頭の9番・直江が右越え三塁打で出塁。3番・武田の中前適時打で1点を返した。四、五回と失点し3点差に広がったが、六回以降エース大野が立ち直り、守備も無失策で盛り立て十三回まで追加点を許さなかった。七回裏、二死から4連打を浴びせ、1番・有馬の中前適時打、2番・大野の中前2点適時打で3点を返し、同点に追いついた。4―4のまま延長戦へ。十二回までに両者得点が奪えず、十三回は無死一二塁から始まるタイブレーク方式へ。表の攻撃を無失点で切り抜けると、その裏、4番・西田が右前適時打を放ち、3時間9分の死闘に決着をつけた。

我慢強く、粘り強く、初Vつかむ「終盤勝負」の共通認識、ブレず

【決勝・鹿児島城西―大島】延長13回大島無死一二塁、4番・西田がサヨナラの右前適時打を放つ=平和リース

延長十三回裏、4番・西田心太朗は「打てる気がしなかった」と言う。それまで4打数無安打。ただ「(大野)稼頭央のために点をとる!」ことだけを念じ、これまで散々バットを振ってきたことを信じて初球を振り抜いた。当たりは詰まっていたが、二塁手と右翼手の間に落ちた。二塁から大野が生還。3時間9分の死闘を制し、大島が初の栄冠を手にした。

五回まで3点ビハインド。この日も逆境からのスタートだったが、ナインの「終盤勝負」(武田涼雅主将)の共通認識に全くブレはない。「これまで稼頭央がずっと抑えてくれていた。自分たちが打って勝つしかない」(武田主将)一念で食らいつく。

七回表、無死一二塁のピンチを無失点で切り抜けると、その裏、二死から4連打で同点。十三回、西田の決してスマートでない決勝打。いずれもナインの「決してあきらめない気持ち」(武田主将)が詰まっていた。

「選手たちがたくましくなった」と塗木哲哉監督は最大の賛辞を贈る。決勝まで6試合、うち3試合が延長、4試合がサヨナラ勝ちと驚異的な我慢強さ、粘り強さを発揮してつかんだ優勝旗だった。初の決勝進出にも満足することなく「自分たちの目標は『甲子園ベスト8』」(武田主将)の高い志を再認識して、どん欲に勝ちにこだわった。

センバツは7年前21世紀枠で「選ばれて」出たことがある。今度は正真正銘の「自分たちで勝ちとる甲子園」(塗木監督)を目指して、九州の強豪に挑む。(政純一郎)

強打者との勝負「楽しむ」投打でチームをけん引 大島・大野稼頭央

投げては207球の完投、打っては七回に同点の2点適時打。エースの投打にわたる活躍が大島初Vの強力な原動力になった。最後は自ら決勝のホームに頭から滑り込み、歓喜のナインの祝福を受け「最高にうれしかった」と笑顔で振り返った。

五回までに9安打4失点。鹿城西の強打に屈するかと思われたが「各回の失点を最少失点で切り抜けたのが良かった。一通り対戦して相手の特徴も分かった」とむしろ確信をもって後半のマウンドに挑めた。

「各打者の特徴はビデオで見て研究した」と捕手・西田心太朗。今大会3本塁打と大当たりの5番・明瀬は直球にめっぽう強い。直球を見せ球にして100キロを切るカーブや120キロ前後のスライダーを勝負球にする配球がさえ、5打数無安打に抑えた。4番・藤田はスローボールで早めに追い込み、勝負球は140キロ台の直球が生きた。「実際に対戦しながら、こまめに2人で対策を修正して丁寧に投げた」と西田。六回以降は一度も得点を許さなかった。

終盤、疲労もたまり、息の抜けない強打者との対戦が続いたが、口角が上がり、勝負を楽しんでいるように見えた。「楽しむしかなかったです」と笑う。夏までは90キロ台のカーブが中々決まらなかったが、夏場徹底して走り込んであらゆる球種に磨きをかけた。

「積んでいるエンジンが違う。燃費も良い」と奥裕史コーチ。練習試合で九回投げた後でも縄跳びを30分跳び続けられる、シャトルラン30分走り続けられるスタミナが6試合1人で投げ抜く土台になった。「九州はもっと強い相手との勝負になる。またグラウンドに帰って走り込みます」と早くも次の舞台に目線は向いていた。(政純一郎)