漁船の出漁、航海に影響

奄美大島に漂着した軽石 20日、名瀬港内でも少量確認

今月12日ごろから奄美大島の東海岸(太平洋側)でも多数の軽石漂着が確認された。その後、多数の軽石は奄美大島の太平洋側にある各漁港内にも流れ込み、奄美市笠利町の宇宿漁港などでは、漁船の出漁ができない事態が発生している。漁業者らによると、小さい軽石が漁船のエンジントラブル、船外機のエンジントラブルにつながることから出漁を見合わせているという。また、港外や周辺海域で多数の軽石が漂流しているという情報もあり、しばらく出漁しない選択をした漁船もある。20日、名瀬港内でも少量の軽石漂流、漂着が確認できた。風向き、潮流の変化が影響しているかは分からないが、軽石は、東シナ海側でも漂着が確認されるようになった。

宇宿漁港、10数隻囲み出漁できず

宇宿漁港に漁船を係留している奄美漁協所属の組合員によると、13日に港内に軽石が入ってきて、17日にひどい状態となった。

19日、宇宿漁港に行ってみると、港内奥に泥状になった軽石が流れ込み、係留していた10数隻の漁船等の周囲に滞留していた。

漁業者などの話によると、その状態で漁船のエンジンを掛けると、軽石によって海水こし器(海水フィルター)がつまり、エンジンのオーバーヒートの原因になる。また、船外機エンジンの場合は、海水を冷却水として吸い込むが、軽石がオーバーヒートを起こす原因になるという。

宇宿漁港に漁船等を係留している奄美漁協所属の組合員約10人は、18日に軽石の除去作業を行ったという。釣りで使用するタモ網で陸側から軽石をすくい上げ、箱に入れ、陸に積み上げた。「少しでも除去したかったので有志で作業した。しかし、すくい上げられる量には限りがあった。どうにかしてほしい」「台風の影響もあって長期間出漁していない漁業者もいる。専業なので生活に響いていると思う」(組合員の話)。

一方、奄美市名瀬の小湊漁港内にも泥状の軽石が流れ込んだ。名瀬漁協職員が16日に確認したところ、奥の港内が全体的に軽石で覆われていた。漁業者によると、「17日に泥状の軽石の一部が沖側へ出ていったらしく、自分の漁船の周囲の軽石はなくなっていた。その夜は出漁できた。しかし、沖では軽石が漂流しているという仲間の情報があった。今後どうなるかは分からない」「港内の軽石は早く除去してほしい」と話した。

18日に見に行くと、泥状の軽石は、港内の奥側へ押しやられた状態だった。

18日に入った情報によると、瀬戸内町の嘉鉄、蘇刈、ホノホシ海岸などでも軽石が漂着していたのを確認したという。