ソーラーLED灯2基を知名町に寄贈

設置されたLED灯の前に立つ(左から)今井力夫町長、田中博社長、知名中学校の生徒ら、梅田俊治校長=知名中学校前=


設置されたソーラーLED灯

岡野エレクトロニクスへ感謝状
佐多万膳事件きっかけに

 【沖永良部】(株)岡野エレクトロニクス(本社、薩摩川内市)はこのほど、同社が開発した独立電源型ソーラーLED灯2基を知名町に寄贈した。20日、LED灯が設置された知名町立知名中学校前で感謝状の贈呈式が行われ、今井力夫町長が同社の田中博社長に賞状を手渡した。
 1908(明治41)年に知名町の白浜海岸で起きた佐多万膳事件がきっかけとなり、寄贈が実現した。

 この事件は、密輸船の臨検中に警察官と税務署職員の計2人が殉職したもの。そのうちの1人、大島警察署沖永良部分署知名村駐在所の佐多義種巡査(当時25歳)は、薩摩川内市の前市長、岩切秀雄氏の祖父にあたる。岩切氏は、知名漁港付近に建立された慰霊碑をたびたび訪れており、2020年2月には慰霊碑の改修完了記念式典にも参列した。

 今回、知名町の住民有志により慰霊碑が建てられたことや、毎年慰霊祭が行われていることなどを知った田中社長が、町のためにとソーラーLED灯を寄贈した。

 LED灯は、太陽光発電装置に蓄電池とLED照明を組み合わせた夜間照明用の街灯。薩摩川内市の企業や高校、職業能力開発短期大学校などが共同で開発製造した。電源が不要で、日没になると自動点灯する。知名中学校の校門前とマリンパーク内の2カ所に設置された。

 感謝状授与式には、田中社長と今井町長、知名中の梅田俊治校長、生徒会長の今井ひなたさん(3年)らが出席。

 賞状を受け取った田中社長は「岩切さんと知名町とのつながりを聞いて、この町にどうしても寄贈したいと思った」と語った。

 今井さんは「部活の帰りなど、暗くて危ないと感じていた。これからは安心して帰れる」と笑顔。
 今井町長は「安心安全な町づくりと脱炭素化の取り組みにもなるありがたい申し出だった。事件を風化させることなく語り継いでいきたい」と話した。