災害復旧的な支援必要

徳之島東海岸にも押し寄せ、海面をセメント色に一変させている軽石(厚さ約20センチの堆積も)=25日午前、徳之島町井之川漁港

軽石漂着 厄介者、活用案も?徳之島

【徳之島】小笠原諸島の海底火山噴火で発生した軽石が南西諸島域に大量に漂着している問題では、徳之島東部の徳之島町の海岸線や漁港にも次々と漂着。漁港の泊地や出入口がセメントのような灰色に覆われ、漁船が出漁できないなどの実被害が現実のものなった。

徳之島3町で構成の「とくのしま漁協」(徳田進組合長)によると25日現在、規模の差はあるが、徳之島町北端の手々・金見海岸から南原海岸にかけた町内のほぼ全域で漂着を確認。天城町では北西部の与名間海岸での確認報告も。

漁港関係では徳之島町の井之川、母間・南川、花時名の3漁港は、風向きにもよるが泊地全体がセメントを流し込んだように灰色に覆われるなど特に深刻。船揚げスロープや周辺の波打ち際は、厚さ約20センチの堆積か所も。

漁船への影響は、海面を漂った軽石がエンジン冷却の海水とともに吸い込まれてフィルターを詰まらせ故障(オーバーヒート)すること。同漁協の徳田組合長(55)は「沖マグロやソデイカ漁も含めこれからがシーズン。漁場の南大東島近海に向けた夜間航行も見合わせざるを得ない。漁業組合員の生活にも関わる深刻な問題」と懸念。漂着軽石の除去作業を含め、行政には「災害復旧的な行政支援の検討も要望したい」と話した。

厄介者の軽石 園芸資材など逆利用は?

白砂とエメラルドグリーンのグラデーションが売りの海岸線を一変させてしまい、一部専門家は「漂着は1、2年続く可能性も」とさえ指摘している厄介者の軽石。その厄介者の「軽石を〝海からの恵み〟と捉えて、園芸資材や、排水の悪い耕地の土壌改良資材などに活用できないものか」との声もある。

「軽石(パミス)」は、園芸やガーデニングの際、水はけを良くしてくれる資材の一つだ。軽石系統の産地別では宮崎県「日向土」、栃木県「鹿沼土」、青森県「十和田砂」、北海道産「蝦夷砂」、群馬県「桐生砂」などでもおなじみ。おびただしい量の厄介者の漂着軽石も水洗(塩抜き)やPH調整など創意工夫しだいでは、「海からの恵み」に一転する可能性も秘めていそう。