新工場建設の立地協定書を手にする朝山市長、里社長、印南支庁長(右から)
グリーンストアが新工場の建設を予定している4階建てビル
奄美市は28日、同市名瀬金久町に地元食材を使用した加工食品などを製造する新工場「トマト食品工場」(仮称)を建設する㈱グリーンストア(本社・奄美市、里綾子代表取締役社長)と立地協定を結んだ。新工場は、国際的な食品安全管理認証基準「HACCP」(ハサップ)を取得、ふくれ菓子や黒糖菓子、冷凍マグロ、冷凍タンカンなどベトナムや米国への輸出用加工食品の製造を行う。HACCPの取得は同市で初めてで、奄美大島では町田酒造㈱(龍郷町)に次いで2例目。来年3月から操業開始を目指す。
市役所で行われた調印式には、朝山毅市長と里社長のほか、立会人として県大島支庁の印南百合子支庁長が出席。工場建設のため両者が相互協力することなどを定めた立地協定書にサインした。協定書では市が同社の業務が円滑に行われるよう協力する一方、同社は、地元雇用に努めることなどが盛り込まれている。
新工場は同社が所有する鉄筋コンクリート4階建てビルの1、2階部分(延べ床面積約325平方㍍)に整備する。11月に着工し来年2月の完成を目指す。整備費は建物の改修費やHACCP対応の急速冷凍庫などの機材費を合わせ約2億7500万円。県の補助事業なども活用する。
来年3月の操業開始を予定しており、商品開発や郷土料理の伝承、インターネット販売などを担当する従業員6人の新規雇用も予定。里社長は「奄美の郷土料理やお菓子などの販路拡大を図り、奄美の発展に貢献したい。国内外に奄美の伝統的な食品を販売、紹介することで、郷土料理などの継承にもつなげたい」と抱負を語った。
同社は1985年、食料品の小売店として創業。現在、市内で5店舗のスーパーを展開するほか、移動販売事業なども行っている。また、97年には同市名瀬長浜町に総菜工場を建設、郷土色豊かなお菓子や総菜などを製造、自社スーパーで販売している。
今回、輸出用の食品工場建設については、先代社長の故里泰慶氏の「奄美の産物を世界に届けたい」との思いが込められており、里社長は「生前、父からは、会社の成長が奄美の発展につながる。安心安全誠実な仕事をしなさいと教えられた。新工場はその思いを実現する基盤となるようにしたい」と話した。
新工場の整備にあわせ、新ブランド「Amami island」(アマミアイランド)として地元食材を活用した加工食品の商品化も進めることにしており、郷土料理の継承を目的とした料理教室の開催なども計画している。
朝山市長は「地域に密着した企業理念に敬意を表したい。今後も、地域経済を支え、奄美の食の安心安全に貢献していただきたい」と話した。