奄美全市町村83カ所に漂着

 

奄美市名瀬の小湊漁港で行われている重機を使った軽石の除去作業

 

 

軽石被害県対策会議 各機関で情報共有
処理事業、国庫補助対象に

 

 【鹿児島】小笠原諸島沖の海底火山噴火の影響で奄美群島に軽石などが漂着している問題で鹿児島県は29日、県庁で対策調整会議を行った=写真=。塩田康一知事、危機管理防災局、土木部、商工労働水産部などの県の幹部らが出席。大島支庁や奄美市、喜界町、与論町などの奄美群島各市町村担当者ともオンラインでつないで、現在までの漂着や被害状況などの情報を共有し、今後の対策について話し合った。

 県のまとめによると、28日までに奄美群島12市町村の83カ所の港湾、海岸で漂着が確認されており、漁船12隻が濾(こ)し器の詰まりや、詰まりによるオーバーヒートなどの被害が出ている。83カ所中11カ所は原状回復しているが、大半は現状に変化がなく、中には悪化している場所もあるという。与論島は南部を除くすべての海岸、港湾に軽石が漂着しており、「生態系、観光、産業などに深刻な影響が出るのではないか」と危惧している。茶花海岸の様子が映像で流れた。近くの製糖工場の冷却用取水口が軽石に覆われ「12月から始まる操業ができなくなる恐れがある」と警鐘を鳴らしていた。

 この他、環境林務部からは軽石の処理事業が国庫補助事業の対象になるとの回答があり、1億800万円の補助金追加要望を出したことが報告された。九州財務局は、処理した軽石の仮置き場として無償で使用可能な国有地についての情報を県や各市町村に提供した。

 塩田知事は「フェリーの欠航など県民生活への影響が少なくなるよう、各機関で連携して対応する。また漁港の機能回復、漁業関係者への補償についても検討を」と話していた。

 なお県は、国の災害復旧事業の対象となるよう申請中だが、先がけて県単独事業で除去作業を進めている。奄美市名瀬の小湊漁港では28日から除去が行われている。