衆院選当選者インタビュー 三反園訓氏

身近な声、反映する政治家へ

前評判を覆し、自民党が単独過半数を獲得し幕を閉じた第49回衆院選。鹿児島2区では、保守分裂といわれ、4選を目指した自民前職の金子万寿夫氏(74)との事実上の一騎打ちを制した無所属新人の三反園訓氏(63)。県知事時代の実績を前面打ち出し、草の根活動で保守、無党派層問わず幅広く支持を広げ、1万2千票差で初当選を果たした。「今大事なのは身近な声を反映できる政治家だ」と語る三反園氏に、国政へ向けての抱負を聞いた。

―選挙が終わった。率直な感想は。

感謝の気持ちでいっぱいだ。本当にありがとうと言いたい。知事時代も365日働く気持ちでずっとやってきた。これからも一方通行ではなく、住民視点で県民と手を携えて進んでいきたい。

―勝因は。

知事選では期待に応えられなかった思いもあり1年3カ月の間、つじ立ちを続けきた。その間、新型コロナの影響で打撃を受けた農家や観光業、若者などの多くの声や意見を聴くことができ、心と心がつながった。頑張れという期待も感じたし、一人ひとりの後押しが力になった。

―これまでの国会議員とは何が異なる。

しいて上げるなら現場主義。何かあれば現場に出向いてその人の立場に立って対応するのが三反園訓だ。知事時代に取り組んだ車座対話のように、課題があれば現場で意見を聴く、これからもその姿勢に変わりはない。

―何に取り組む。

まずはコロナ対策だが、鹿児島は奄美の世界自然遺産だけでなく海という財産もある。ブルーツーリズムなど、港湾を拠点に鹿児島はまだまだ発展できる。海で国際観光都市を目指したいという思いもある。

―奄美出身国会議員が途絶えた。離島はどうする。

出身地だからどうということではない。知事時代には奄美に27回訪問している。島は物価も高く、災害があればすぐ止まるという理不尽さもある。島の発展なくして鹿児島の発展はない。知事として培った4年間を生かしたい。

―奄美では軽石被害も視察した。

これは真っ先に取り組むべき問題。軽石はいったん除去しても際限なく流れてくる。根本的な解決策が必要。国会議員として省庁とも協議にあたりたい。

―無所属で続けるのか。

知事時代には与党一緒にやってきたし、応援する党員がいたからこそ選挙でも結果はついてきた。保守系同士で政策の考えも近く、相談はしていきたい。

―最後に抱負を。

政治記者を30年、知事を4年努めた。培った人脈や実績もあり、今ならできるという自信はある。今の時代に必要なのはさまざまな声に耳を傾け、政策として実行できる身近な政治家だ。2区は農業や観光だけでなく、高齢化や少子化といった課題も多い。今すべてという訳にはいかないが、実現に向けて汗を流して働きていきたい。(青木良貴)

メモ
(みたぞの・さとし)指宿市出身。早稲田大学教育学部卒。1980年テレビ朝日入社。政治記者として首相官邸キャップやキャスターを歴任。2016年7月に県知事初当選。趣味は図書館巡り。365日働くは、「働いていたいという性、口癖のようなものだ」と笑う。