奄美市空き家対策協

危険空き家対策などについて意見交換した市空き家対策協の委員ら

危険空き家 除却困難ケース報告も
所有者死亡、相続手続きなく 高額な撤去費用が負担に

 奄美市空き家対策協議会(伊集院平應会長、11人)の第2回会議が2日、奄美市役所であり、市の「空き家等対策計画」に基づく「危険空き家等除却助成金」の助成対象や今年度実施した空き家調査の状況などについて報告があった。危険空き家の除却については、元の所有者が死亡、相続手続きが行われていないことも多く、現在の所有者が特定できないケースが複数あることが報告された。また、委員からは、除却助成金の上限額が30万円となっていることに対し、除却費用が高額となることから増額を求める意見があった。

 除却助成金は、市の調査で危険空き家と判断された場合、市が家屋の撤去費用の三分の一(上限30万円)を助成するもの。空き家の所有者や相続人のほか、自治会など地元の組織代表者も対象となる。今年度は9件(名瀬6件、住用1件、笠利2件)の申請があり、うち申請辞退があった1件(名瀬)を除く8件について助成することが報告された。

 空き家調査では、今年度相談があった12件とこれまでに相談があった案件の再調査8件の計20件(いずれも名瀬)について調査。除却や売却先の決定、樹木伐採など6件について解決、改善されたことを報告した。

 また、解決が困難とみられる3件については、県の空き家対策支援専門家派遣事業を活用、対策などを検討した。3件はいずれも借地に建つ空き家で、いずれも元の所有者は死亡。建物の登記自体がされていないケースもあり、土地所有者、空き家の相続人双方ともに高額となる撤去費用などを理由に除却などの対応をしていないという。

 委員からは、ほかにも同様の空き家が多数存在する可能性が指摘され、「除却のためにはまず、建物所有者や相続人の特定が欠かせない」などの意見があった。

 また、今回除却助成金の対象となった危険空き家の除却費が200万円近くかかるケースがあるなど、ほとんどの空き家で、助成金の上限額30万円を支給することになったため、「上限額の引き上げが必要」といった意見もあった。

 市の担当者は「相続などにより空き家の所有者になった人には、除却の必要性や助成金制度などについて丁寧に説明し、危険空き家の除却に努めたい」などとしている。