高校野球 九州大会チーム紹介・大島

14年以来の甲子園を目指す大島ナイン

 

 

 

 

 

 

大黒柱のエース大野

 
 
「一戦必勝」で九州に挑む
勝負強さ、粘り強さが持ち味

 

 第149回九州地区高校野球大会は6日に鹿児島市の平和リース、鴨池市民、両球場で開幕し、12日(※雨天順延)まで熱戦が繰り広げられる。県予選初優勝で12季ぶり3回目の九州大会に挑む大島は、大会初日市民球場第2試合で大分舞鶴(大分2位)と対戦する。来春のセンバツ甲子園の重要な参考資料となる。大島は21世紀枠で出場した14年以来となる甲子園を目指し、九州の強豪に挑む。県予選6試合中4試合サヨナラ勝ち、3試合の延長戦を勝ち抜いた勝負強さ、粘り強さが身上の大島の横顔を紹介する。
                         (政純一郎)

 県予選全試合を1人で投げ抜いた左腕エース大野がチーム浮沈の大きなカギを握る。常速130㌔台後半の直球に120㌔前後のスライダーに、この秋は100㌔を切るカーブをものにして、投球の幅が広がった。防御率1・04と安定しており、尚志館戦の八回に2失点した以外は1イニングの失点を1点以内で抑えている。1試合平均10個の三振を奪っており、ここぞという場面では三振がとれるのも強みだ。

 6試合で擁した球数は913球。県予選は日程に余裕があったため「1週間500球以内」の球数制限の影響はなかったが、九州大会は決勝まで4試合を1週間でこなす。優勝まで視野に入れるなら、制限にかかる可能性は高い。2番手投手をどう作っていくかは課題だが、塗木監督は「まずは1回戦、準々決勝に集中する」とセンバツ一般選考の対象になる4強入りに全力を注ぐ。失策は6試合で8つ。最も緊迫した鹿児島城西との決勝戦は十三回まで無失策で切り抜けた。バントシフトなども徹底して練習しており、堅守且つ攻撃的な守備を心掛ける。

 チーム打率は2割7分。コールド勝ちは準々決勝の川内戦のみだが「これまで大島で見てきた中で打力は一番ある」と塗木監督。県予選では爆発的な集中打は見られなかったが、ここぞという場面をものにする勝負強さが光った。

 4番・西田は打率5割、打点6と仕事をした。決勝戦では延長十三回、最後の打席で決勝打を放った。3番・武田は6試合で3安打と当たってはいなかったが、3打点を挙げ、6四死球を選び、攻撃の起点になった。

 送りバントは使わず打ってつなぐのが基本。勝負所では盗塁、バント、代打など状況に応じた戦術で着実に得点を得る。「甲子園ベスト8」を一貫した目標に掲げており、そのために県予選は「1試合失点2以下、得点7以上」(塗木監督)を具体的な数値目標にしている。この秋は6試合平均失点2・06で目標に近い数値だったが、得点は5・15とあと一歩届かなかった。この数値を上げていくためには、走塁の判断や県予選ではミスが目立ったバントなど、細かい部分の精度を上げることが必要になる。

 地元開催、鹿児島の離島勢初の優勝校として何かと注目されることが予想されるが「選手たちは浮かれることなく、淡々と必要な準備をしている」と塗木監督。県予選と同様「勝ちたい気持ちを全面に出し、一戦必勝で戦う」ことがセンバツへの道を開くカギになりそうだ。