センバツ確実 スタンドは涙と感謝

先制点を奪い歓喜する大島高校三塁側スタンド

吹奏楽、ダンス部が後押し 大島高校野球部

 九州地区高校野球大会3日目の9日、大島が平和リース球場でのセンバツ確実のベスト4入りを決めると三塁側スタンドは大歓声と感涙に沸いた。「ありがとう。ありがとう。ヨッシャー最高」。フェリーで上鹿した同校の吹奏楽部、ダンス部、新聞部計42人、保護者や鹿児島県本土在住の奄美出身者や野球部OBら総勢約700人の観客が来場。吹奏楽の音に合わせたチヂンや手拍子の応援で選手を鼓舞した。

 試合開始前、保護者会らは新型コロナウイルス下、マスク着用での応援をスタンドで呼び掛けた。先発メンバーが一人ひとり、アナウンスされると大声や指笛(ハト)での声援を封印。太鼓や拍手で称えた。

 吹奏楽部とダンス部が到着した3回裏、1死2・3塁のチャンスを作ると、2番のエース大野、3番武田主将ら3者がタイムリーを放ち3点を奪うとスタンドは最高潮に達し、選手らを後押しした。

 4回からは2試合で345球を一人で投げている鉄腕、大野が投球のたび一球一球、声援とため息が漏れ、緊張感に包まれた展開に。吹奏楽部の田川海空部長(2年)は「初めて、実際生で見て迫力を感じる。一丸になって応援出来ている」、ダンス部の政村李玖部長(2年)は「熱気を感じて選手の頑張りが力になり、より頑張れる」とそれぞれエールを送った。

 試合も終盤を迎え、守備陣も堅守でエース大野を支えた。そして9回最後の打者を打ち取り強豪、興南高校を破り自力でセンバツ確実をつかんだ。

 取材のため応援席から試合を見守った新聞部の赤井洸太さん(1年)は「目の前で勝利の瞬間を見ることができて本当にうれしい。こんなに感動したことはなく野球部に感謝。大高の生徒であることを誇りに思う」と興奮した様子で話した。

 2014年、21世紀枠で甲子園に出場した現外部コーチの泊慶悟さん(24)は「歴史を変えた。だがまだ先がある。走塁ミス、個々のレベルアップが必要。全国のチームに勝つために」と後輩たちを称えた。

 黒木哲二校長は「生徒の頑張り、いい試合だった。ただただすごい。奮い立たせる試合。次は甲子園。なお一層気を引き締めて励んでもらいたい」と健闘を称えた。

 野球部保護者会の西田哲会長(50)は感極まり開口一番「幸せ、最高」、「感動するような試合。その通りになった。一戦一戦頑張った。相手は興南、自分たちの野球をした結果が出た。感動のあるゲーム、一生懸命泥くさく、いいプレーしてほしい。感謝」と涙で言葉が詰まった。

 甲子園で「ベスト8」を目標に日々、厳しい練習を積み重ねた大高ナイン。勇気と感動を島民に届けた。

 準決勝は11日午前10時、平和リース球場で決勝進出をかけ、有田工業(佐賀2位)と対戦する。